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74 side葵
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side葵
「さーいーたー さーいーたー
チューリップの花がー」
続いて欲しくて真慕を覗き込めば腕の中で俯いている
「咲いた…」
少しして小さく真似してくれる
「うんそうそう!
さーいーたーだよ」
「……さーいーた」
小さな手にきゅっと力が入ってそれから、もしょっ。と歌ってくれる
「んんっ…可愛い100点天才!」
ほんとにほんとに可愛い
「ねぇ、いつまでやってんのこれ」
パジャマ姿の真慕はそう言いながら口を尖らせる
真慕が夜に泣いてしまったあの日から俺は色々考えた
どうすれば真慕が怯えることなくそういうことに向き合えるか
結果、少し肌に触れてみるのはどうだろうという考えが浮かんだ
手を握ったり、頬を撫でたり、今まで以上に膝の上に乗っけたり、腕枕したり。
少しでも人との触れ合いに慣れてもらえば何か変わるのではないかと思ったのだ
嫌がるかと思ったが、手を握ったり頬に触れたりしても案外嫌がらなくてその事実が可愛すぎて頭がおかしくなりそうだったけど、取り敢えず続けてみることにした
「えー?俺が飽きるまで。
真慕はもう飽きちゃったの?」
「最初から飽きてるし、1回も乗り気になってない」
「こんなに楽しいのに?」
「楽しくない」
「ええ〜
じゃあもう一回だけやろう?最後にするから。
ね?」
「…ん。」
「じゃあシャボン玉の歌ね
しゃーぼんだーまとんだ屋根まで…」
「ねぇやっぱ飽きた」
「ふふ、もうやだって感じ?それじゃあ頑張ったご褒美にお団子屋さんに行こっか」
それからもう1つ。
それは、昼間の外出。
「黄色い袋の?」
「そう、好きなの頼んでいいよー」
ここ最近、少しずつ真慕を連れてお昼に外に出る練習をしている
それも、ご褒美や嬉しいことという印象をつけて外に出る
今日のこのゆったりな昼下がりもその練習。
最初は買ってきてよと言われたり、泣いて嫌がられたりが殆どだったが、最近は段々と付いてきてくれるようになった
この前は注文も自分で出来た
大進歩すぎて泣きそうになった
店の前で記念写真まで撮りたくなったがやめてと言われて断念した
…少しは俺の事、信頼してくれているのかな
そうだと嬉しいな。
「そと寒い?」
「そうだねぇ。少し肌寒いかも
これ、羽織っていく?」
キャラメル色の大きめのカーディガンを差し出せば、頷いて腕を通してくれた
うん、似合ってる。それはもう天使みたい。可愛い。
パジャマもパジャマぽさはなく、緩い部屋着。もう今のファッションはゆるふわの天使ファッションだ
何で真慕ってこんなに可愛いんだ。
目に入れても痛くない。絶対に痛くない。
「それじゃあ、行こうか。すぐに帰ってこようね」
「…ん。」
動きやすいように真慕にはスニーカーを履いてもらって、それから手を繋ぐ
外はさすがに嫌がるかと思ったけど、手を繋ぐことはあまり嫌がられたことは無い
大人しく、きゅ。と握ってくれている
「太陽が眩しいねぇ」
青い空に眩しい太陽
気温は高くないから、今日は絶好のお出かけ日和だ
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