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湿布を貼って、湯たんぽを抱きしめさせて、寝る時用の温かい靴下を履いてもらって、やっと真慕の寒さは落ち着いたようだった
けど1度キンキンと痛み出してしまった背中は後を引いているようでんーんーと唸りながらベッドの上を行き来している
「真慕」
「…なに」
痛みのせいかちょっとムッとしている
それでも不安気な気持ちも一緒に伝わってきて可哀想でどうにかしてあげたくて、頭を回転させた
「この前病院で面白いことがあったんだよ」
「面白いこと?」
「そう、聞いてくれる?」
少しでも痛みから気を逸らしてあげられたら。
眠気も無いようでケータイも手にしていたから思い切って話題を振ってみる
夜は寝て欲しい派の俺はあまり自分から夜に真慕に話しかけることはしなかった
だってそうやって話してしまったら目が冴えて眠れなくなってしまうかもしれない。真慕には元気でいて欲しいからこそ、そういう所にも意識をまわしていた
「珍しい。何あったの」
「ふふ聞いてくれるの?」
「うん」
何故か少し嬉しそうだった
まだ寝ていないのにころころと寝返りを打っていたせいでもうぴょこん、と跳ねてしまった毛を撫でて抑える
「あーでも真慕に言うほど面白くなかったかも」
「何でもいいから早く」
「つまらなくてもいい?」
「ふふ、何それ。いいよつまらなくて」
「…この前ね、ずーっと靴を左右逆に履いてて」
「何ほんとにどうでもいいじゃん」
「ねぇ、それでね気づいた時恥ずかしくて靴紐直すフリして履き替えたのね
イスに座ってやってたんだけど、履き直して体起こそうと思ったら今度は起きがけに頭思いっきりデスクにぶつけて」
「ふは…何してんの。しかもつまんない」
「だからつまらなくてもいい?って聞いたのに」
「こんなにどうでもいいとは思わなかった」
「ねぇ真慕!」
つまらないと言いつつもクスクスと小さく笑う姿を見てしまうと、話してよかったなんて思えてしまう
痛いの、ちょっとは忘れられてる?そうだと嬉しい。
「もっと面白いの」
「そうだなあ」
それから思いつく限りの話をした
それは仕事中の事から、家でのことまで。
いつの間にかそれなりの時間が経っていて最終的に真慕は俺のお腹の辺りに顔を埋めて眠った
ちゃんと布団をかけてぽんぽん、と撫でていてばぽかぽかと温かくなってきてその温度に安心する
「真慕、今日もお疲れ様さま
がんばったね。おやすみ」
起こさないように小さな声で呟いた
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