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102 1ヶ月記念日
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「これ、ほんと…しんどっ、い…」
「これただの過呼吸じゃないだろ。
胸痛む?」
「ほんと、むり…っ」
「泣くな、大丈夫。落ち着くから」
「……いた、い」
ひっ、ヒュッ。と苦しそうな呼吸
普段病院で見ているものとは少し違う
過呼吸の分類には入るけど、吸いすぎや吐きすぎというより、呼吸自体を引き攣らせて止めるような危ない呼吸
これで嘔吐や気絶が伴うとなるとマジで危険だ
医者が危険だと引かないのも納得だし週一という頻度で通っているのも納得。
いくら慣れているとはいえ絢の口からは弱音ばかりが漏れて生理的な涙も止まらない
「大丈夫 大丈夫。
力抜いて、落ち着くから焦るなよ」
落ち着いたら一度大きい病院で診させた方がいいな。
薬も効いていないなら変えてもいいかもしれない
それから症状もちゃんと医者に伝えてるのかこいつに至っては微妙なところだ
唐突に便器に頭を打ち付ける勢いで屈んだかと思えば意識を飛ばしていた
一瞬救急車まで頭をよぎったが、気絶はつきものと言っていたし、嘔吐物や呼吸が詰まらないように気道を確保してベッドに寝かせる
顔を真っ青にして、止まったような呼吸を繰り返すからほんとにこっちも心臓が持たない
そのまま絢は気絶という形で眠り続け、目が覚めたのは4時間後だった
目を覚ました絢を見て内心死ぬ程ホッとした
「薬、どれ?飲めそう?」
絢のウエストポーチの中にはいつも黒色のポーチが入っている
その中には薬や目薬、絆創膏や使い捨ての眼帯が入っていることを知っている
開けるのは悪いかと思い、ポーチごと渡す
「……ごめん。床汚したし落ちた…」
「気にしなくていい。それより今はどう?少しは落ち着いた?」
沈黙が流れる
ちゃんと答えて欲しくて、誤魔化されたくなくて絢の目を見て待った
しばらくした頃、小さく口を開いた
「………なんか今回、しんどいかも…」
ちゃんと、伝えてくれる
「どっか痛む?」
「心臓、バクバクする…息切れる」
布団に顔を埋めた絢は弱々しい
不謹慎だけど、口にして苦痛を訴えてくれたのは嬉しかった
以前は、してもらえなかったことだから。
「病院行く?」
「今薬飲んだし大丈夫と思う」
「いつもこんな感じなの?」
「…ん。こんな感じだけど、丸2日引きずるのはあんま」
「疲れてた?」
横になる絢の額に触れる
「ん〜どうだろ」
布団に潜る姿を横目に自分の手帳を開いた
「病院行くとしたらいつ空いてる?
俺が働いてるとこいい先生多いから病院変えない?
症状もちゃんと伝えてみよう」
「あの病院でかすぎ。ハードル高い」
「そういうとこの方が顔覚えられなくていいんじゃない?」
「あー、それはあるね」
「5年も今の病院通ってるんだろ?
症状変わらないなら処方される薬他の方が合うのかも。変わらずにそれ出され続けてるならこの期に変えても良くない?」
「まぁ、ゆきが言うなら」
「ほんと?じゃあ早速だけどいつ空いてる?
早い方がいい」
「俺はいつでも」
「じゃあ木曜仕事午後からだから午前中一緒に行くか」
「わかった。でも俺一人で行けるし大丈夫だけど。」
「俺が死にそうなの」
「ゆき死にそうなの?」
「そ。せめて送り迎えさせて」
「変なの」
絢はそう言うと俺に背を向けてまたうとうとし始めた
疲れてたのかな
起きた時に何か腹に入れるもの作っとくか、そうと決めれば寝室をでて鍋にお湯を沸かした
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