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104 気持ち
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「……葵はさ、もし俺が消えたいって言ったら、一緒に死んでくれる?」
頭をこしょこしょ弄っていた手が背中に回る
縋るように掴まれた
その言葉にドキリとする
真慕の心の声が突然、直で聞こえたように感じたから
「どうしたの?」
背中を撫でれば、また きゅっ。と抱きつかれる
「やり直したい、て…思う…最近、ずっと」
初めて聞くと錯覚する程、真慕の声がやけに綺麗に、鮮やかに聞こえる
この感覚はなんだろう
すごく伝わってくる、真慕の気持ち。
「───… 葵のこと、好きになりたい。」
首元で囁かれた言葉に、カッと耳が熱くなる
目の前、膝の上にいる真慕が突然、今までにないくらい繊細に思えてどう触れたらいいのか分からなくなる
雑に触れればその指先から傷を付けてしまいそうだ
でも、この高揚感は今までに感じたことがない。
死にたいと言われて
やり直したいと言われて
好きになりたいと言われて
自分のキャパを超える程に嬉しかった
だってそれは、真慕が自分の心を捕まえたことを現すには充分すぎて、それでいて、好きになりたいと。
突然触れ方も忘れるほどに繊細に思えたのは、真慕の心が俺に近づいてくれたからだろう
真慕に本当の意味で必要としてもらえる
好きなこと、嫌なこと。
やりたいこと、やりたくないこと。
嬉しいことや悲しいこと。
真慕がそれを感じて、その感情を認められる
血管が切れても言い訳できないくらい、嬉しかった
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