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「19:00から予約していた菅野です」
「はい、2名様ですね」
すぐに案内され、席に着く
絢はと言えばいつになく嬉しそう
たのしみ、そんな顔だ。
初めて見た。
絢にこんな表情をさせてしまうのだから食べ物は偉大だ
きっとそんなに表情自体は動いていないんだろうけど絢の顔大好きマスター検定1級の俺としてはそんなことは一瞬でわかる
「好きなの頼みな」
「オススメとかあるの」
「俺のオススメ?」
「うん、俺ここ初めてだし。」
「そう?じゃあ…」
ラーメン、春巻き、チャーハン、野菜炒め、餃子。
ちょっと多いかと思ったが、ひとつずつ頼んで2人で食べることにした
「お待たせしました、こちら───」
店員の声に嬉しそうに背筋を伸ばして反応した姿は印象的で、俺は多分こういう日のことを忘れないんだろうなと思う
結局は何気ない毎日の積み重ねが大切で、そしてきっと、こういう日が降り積もっていくと俺の中で隣にいて欲しい人物が絢じゃないといけなくなる
何をしていても、絢の事がよぎるようになって、隣にいてくれることが当たり前だと錯覚する日もあるのだろう
「はい、箸」
「さんきゅ」
「どれから食べたらいい?…ゆき?」
「あ、ごめん。 あ〜もう好きすぎて頭おかしくなる」
無性に大切にしたいと思う
俺が、守りたいと再認識する
なぜ今それを強く感じるのかは分からないけど
「ゆきが頭おかしいのはいつもの事じゃん」
「それはそうなんだけどさ?」
「それはそうなのかよ」
…人を好きになること、
好きな人と過ごす時間、
それはこんなにも心が詰まって満たされるものだったのか
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