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「えーそう?」
でも汚れることすんだよ?と言われ、泣きそうになる
恥ずかしいし、今絢の頭の中にある行為の記憶は未だ俺が踏み出せない領域で、それが羨ましいのか情けないのか。
分からないけど頭がキャパオーバーになりそうだ、ということだけは分かる
とりあえず首に手を当てて熱を冷ます
絢はもうからかうのはやめてくれたのか、テレビを見始めた
それにほっとして俺も同じようにテレビに目を向ける
「絢」
「ん?」
「その、ゆきさん…優しい?」
絢が前に付き合っていた人に殴られた時のことが未だに忘れられない
頭を切ったみたいで、夜に突然家に来て葵に手当をしてもらっていた
その後寝ようとしたら絢は音もなく吐いて、葵は「脳震盪起こしてるかも」って、それで病院に連れていった
その時も絢は「俺が悪かったかなー」なんて笑っていて、その時の俺は本当にこのメンヘラは何をやっているんだろうと思ったけど、結構衝撃的で、今でも忘れられないし、心配になる
「…ゆき、は……」
絢は困ったみたいに、あの時みたいに笑った
でも違うのは、顔が青くないこと。
それは凄くいいことのようで嬉しい
言葉に詰まった絢を見つめていると不意に電話の着信音。俺のケータイではなかった。
「あーなに?え、もう?
ん。んー…わかった」
電話に出た絢は面倒くさそうに返事をしている
「ごめん真慕。俺帰る」
電話を切るとそう言われた
「え、もう?」
「そ。
会議早く終わったから何とかかんとかーって煩いから」
「ゆきさんから?」
頷いた絢は心なしか、すこし、ほんの少しだけ嬉しそうな気がした
マスクをしているから分かりずらいけど。
「またきてね」
玄関に向かいながら話す
「真慕からの連絡も待ってる」
「っ!」
ばか、言い返すより先に「じゃーね」と出ていってしまった
絢はほんと、ほんと、そういうところある…っ
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