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「…っい、」
突然の刺すような頭の痛み
「絢?」
思わず漏れてしまった声に慌てて俯いた
なんでもない様に装っても、もう時すでに遅し。
ゆきは「どうした」と助手席の俺を見る
突き刺すような痛みは目を開けていると悪化して、こんな所で吐くわけにもいかないと目を瞑った
「…だいじょぶ。」
「いきなり顔色悪いけど。」
あぁ、ダメだ
痛い
たまにある
突然こうして目も開けられないくらいに頭が痛むこと。
でも少しすれば違和感が残る程度ですぐに落ち着く
これはそれこそ小さな時からで、体質的なものだろうと勝手に割り切っている
「頭痛いの?」
ゆきの言葉を肯定も否定もできない
今日は散々病院巡りに付き合ってもらって、それでこれからそのお礼におすすめの店を紹介する予定。
付き合って何だかんだ2ヶ月が過ぎていて、そろそろ自分の振舞も大事になるだろうな、と思う
それなのに、次から次へといつもいつもそんなことを言っていたら本当に呆れられて終わりだ
俺は柄にもなくゆきのことを好きになってしまっていてだからこそ、そういうマイナス要素はひとつでも減らしていきたいのに。
「…んー」
「車停めて1回ゆっくりするか」
停る?どうする?ではなく、とまるか。ともう決定事項のように言ってくれることがありがたい
どうするかと聞かれれば大丈夫としか言えないし、停ってなんて自分からは言えないから。
近くのコインパーキングに停まった車。
座席を横にしなと言われ、それに大人しく従う
車の座席でも充分リラックスできた
横になって目を瞑っていると段々と収まってくる
10分くらいでだいぶ落ち着いた
目を開けて外を見る
…うん、もう大丈夫そうだ
「病院、お疲れ。」
シートを起こすと頭をぽん、と撫でられた
「…俺は別に」
「頑張った頑張った。ご褒美は何がいい?」
お前はいつも俺のことし考えてない
ご褒美って、それは俺自身がどうこうの話じゃん。ゆきが俺の病院につきあったせいで消えた時間とか、暇な待ち時間とか、一切そんなことは言ってこなくて、ただ病院で俺が頑張ったからご褒美って。
なにそれ。
そんなに優しくしないでほしい
「ご褒美って。」
ふ。と笑って返せばゆきはまた嬉しそうに髪に触れてきた
「絢は偉いし可愛いしいい子だし可愛いし頑張り屋だからたまにはご褒美を買ってあげる」
「突然褒めてくるじゃん?」
可愛い強めだったけど。
「絢自身が1番辛いの分かってるから。そういう体質と向き合い続けないといけないのは」
そんな風に思ってくれてるのか
ほんと、ゆきって不思議だ
何処までしたら、怒ったりするんだろう
この前初めてセックス中にそれ自体が嫌になってしまって無理矢理、強制終了したけどその時も怒らなかった
それどころか 乗り気じゃなかったのにごめんな、と謝られた始末だ
「ご褒美はいらない」
「なんで。欲しいのとか食べたいのないの?」
「別にいー」
「じゃあ帰ったらセックスしてあげるね」
「それをご褒美だと解釈してるの結構やばくない?」
「ガチで引くのやめて」
そして俺が今日のさっきまでの時間が申し訳ないと思っていることも、上手に忘れさせてくれる
ほんと、すごい人。
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