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ゆきは嬉しそうだった
結局院内で待たせてもらうことになり、彼が仕事に行くと俺は待合室で何もすることが無くなった
広いし、回ってみようか
軽い気持ちで待合室を抜けて奥へと進む
スマホ片手に歩いていると、診察室の扉が開いているところがあった
控えめに笑う声が聞こえて、何となく覗いてみた
それは本当に何となくで、理由なんてなかった
するとそこには見慣れた柔らかい茶色の髪。
顔を見る前から真慕だと分かった
「じゃあ行ってみようか」
目の前にしゃがんで真慕を見上げているのは葵だ
「うん、いきたい」
「わかった
任せておいて。とっておきの場所を探しておくね」
「ありがと」
真慕は、ふわり。と花が咲くように綺麗に笑った
……何、その顔。そんな顔、見たことない。
息が詰まるような感覚
人のセックスを見た時よりもドキ、と心臓が鳴った
見てはいけないものを見ている感覚。
葵が大切にしている真慕。
真慕も葵には心を開いているのは気づいていた
それに最近恋心を自覚したことも。
けれど、あんな表情をするだなんて思わなかった
セックスができても、何回体を重ねられても俺にあの表情はつくれない
真慕ってあんな顔するんだ
以前彼は、セックスができないと悩んでいた
けれどそんなの、出来なくたっていい。
本気でそう思った
それよりも俺は、真慕にあんな表情をさせてしまう葵や、そういう表情を作れてしまう真慕が羨ましく思う。
セックスなんて誰でもできる
脚を開いて突っ込めば誰でも出来るんだ
…でも、表情とかってやろうと思ってつくれるものじゃない
ゆきに見せてきたのは下手くそな苦笑いとも言えない表情くらいで、なんとも言えない気持ちになって覗くのをやめた
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