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「なにか美味しそうなのあった?」
「あったよ」
「じゃあここのサービスエリア寄って正解だったね」
こく、と頷けば今度は「食べたいのはあった?」と少し別の聞き方をされる。少し悩んでから「あっち」と指を指した
いつになく葵は優しい。
俺が後ろを気にしたり、人が通り過ぎるときに強く握ってしまう手とか、きっと気づいているからこんなに穏やかな空気を纏わせる
「俺がいるから大丈夫だよ」
終いにはそんなことを言われてしまった
こんな些細なことで。
情けなくて、ちょっと照れくさくて、その言葉は無視した
「…これ」
「ふふ、これ食べたい?」
絢とさっき一緒に回った時、彼は「車の中でも食べやすいのないかな」と言っていた
それはきっと運転してくれているゆきさんや、ここのサービスエリアから運転交代をすると言っていた葵が食べやすいものを探していたのだろう
そんなこと分かっているのに。
そういうのを選ばなきゃいけないのは分かってるのに、葵が「真慕が食べたいの俺も食べたいな」なんて優しいことを言うから俺はつい自己中心的に、目を奪われていたクリームたっぷりのシュークリームを指さした
食べづらいし、運転中片手では食べられないものだ
「…ダメなら、いらない。」
ぼそ、と呟くと葵はくすりと笑った
「ダメじゃないよ、むしろ俺はこういうの楽しみにしてた
せっかく遊びに来たんだしさ、美味しいものいっぱい食べて楽しい思い出増やそうよ」
葵の言葉に胸が熱くなるのがわかった
この人は本当にどこまでも優しくて、たくさんの安心と嬉しいをくれる
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