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俺の目を真っ直ぐ見るといつもと変わらない柔らかい表情で「ちゃんと聞く」と頷いてくれた
…葵。
すきだよ。
俺は葵のことが好き。
それからもうとっくに30分を過ぎている事に気づき急いで支度をした
さっきまでの不安定な弱い気持ちは一旦落ち着いてくれたようで、これから行く観光地巡りの方が楽しみになってそちらに気が向く
目が合うと「なーに?」なんて微笑まれる
葵の事で不安になるのに、当の本人に安心を与えてもらう。
矛盾しているようで不思議だけど、俺の世界はそれくらい狭くて、葵が全部だった
「すみません遅くなりました」
絢達がいるというお店に入ると何やら小さいストラップを2つ持って悩んでいて、俺に気づくと恥ずかしそうにバッと棚に戻した
戻されたものを見るとそれは木で作られた犬のストラップみたいなもの
見られたくなかったのかな?
欲しかったの?
2つ持ってたってことは…あ、ゆきさんとのお揃いを考えていたのかな
「なに。」
「ゆきさんとお揃いしたかったの?」
「…っお前、なんでそういう事言うわけ?棚に戻したんだから話漁んな」
マスク越しにふんわりと赤くなる顔に絢は本当にゆきさんが好きなんだなと嬉しくなる
「要らないの?」
「要らない。」
そこに「なになにー」とゆきさん。
何も悪くないのに照れた絢に謎に怒られていて小さく笑ってしまう
「真慕たち来たしもう出よ」
絢が言いながら今度は背中を押す
何だか珍しい光景だった
今まで絢の彼氏という人を見たことはあるけど、いつも絢はその人の後ろで頷いたり言われた事に従っていることが殆どで、こんな風に気持ちを表して接している人はゆきさん以外に見たことがなかった
「絢ちゃんも楽しそうで良かった」
楽しそう?とても焦っているけど。
でも、うん。楽しそうだ
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