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286 お人形ランド
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「可愛い…」
到着したお人形ランドは外観から既に凝った作りで思わずスマホのカメラを起動してしまう
おもちゃの家がそのまま大きくなったみたいだ
どこからが流れているピアノの音も素敵。
まるで自分が人形になったみたい
「はやく、中入ろう?」
つい急かしてしまう
言ってしまってから「ワガママだったかも」と口を閉じても、もう伝わってしまっている
そわそわと視線を動かせば最初に葵と目が合って嬉しそうに微笑まれた
「うん、行こ。俺も楽しみ」
ふんわりとした優しい口調はいつものトーン。
「!」
嬉しくて2回もコクコクと頷く
服の裾を掴んで入口へと向かった
「ね、歩いたりしても痛くない?」
「なにが?」
「無理させたかな、と思って」
そこまで言われてそれが何を指しているのか分かる
ぶわ、と一瞬にして顔が熱くなって思わず掴んでいた裾を離す
「……だ、大丈夫っ」
小さい声で、早口で言う
焦る俺とは対照的に葵は「それなら良かった。ゆっくり回ろうね」なんてのんびりしていた
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