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「……ん、…?」
暖かかった体が突然冷たくなったような気がして目が覚めた
あれ…
「起きちゃった?」
声は葵のものではなかった
運転席にはゆきさん。
そうか、車の中で寝ていたのか。
体を起こすと膝の上に乗せていたお人形ランドで買ったお土産が動いた
…葵は?
つい真っ先に探してしまう
いつも隣にいてくれるのに何故か今はいなかった
「葵のこと探してる?
絢と一緒にトイレ行った。すぐ戻ってくるよ」
トイレ…
「ゆきさんは、いいんですか?」
寝起きということもあってか声は思っていた2倍小さかった
「うん、大丈夫」
そんな音でも聞き取ってくれるのだから凄い
職業柄、とかなのかな
小さい声でぼそっと喋っても普通に反応してくれる
ゆきさんと2人きりは、初めてかもしれない
少し話したりはしたけど、改めてこういうのは初めてだ
絢が好きな人なのだから、素敵な人なんだろうということは分かるけど、でもまだ少し緊張した
だってなんか、こう…上手く言えないけど、俺はゆきさんに認められていないような気がしている
例えば街中で一人で歩いていたら声をかけてくれないだろうな、みたいな。
「旅行どうだった?」
「あ、えと…楽しかった、です」
「それなら良かった」
あれ、優しい
思っていたよりも怖い雰囲気はなくて、それどころか気さくに声をかけてくれた
「お土産何買ったの?」
「クッキーと、ストラップと、ポストカードと、展示されていたお人形の写真集…買いました」
「俺も記念に残るもの買えばよかった」
「ゆきさんは、何か買ったんですか?」
「全部消えもの。完全にミス」
クッキーとチョコだと言う。
食べるの好きなのかな?ハンバーガーも食べていたし。
あ、そういえば。
「絢、同じストラップふたつ買ってましたよ…あ、内緒だったのかな…ごめんなさい。
今の、聞かなかったことにしてください」
「残念、もう聞いた。戻ってきたら聞いてみよ」
いいこと聞いた、なんて子供っぽく笑っている
ゆきさんてこんなに話しやすかったっけ。
「おまたせしました…あれ、真慕起きたの?」
あえて声量を落としてそっと扉を開けた葵が「おはよう」と髪を撫でてくる
「いびきかいてたよ」
「え、嘘…」
「うん嘘。」
「ねぇ、やめてよ」
「ふは、うける。」
戻ってきた絢には早速バカにされた
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