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299 side葵 お家
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side葵
「ねぇ真慕。
前にお家を建てているよって話したの覚えてる?」
「うん」
やっぱり一軒家の方が真慕にはいいと思う
基本家で何かをしていることの方が多い子だし、そうなれば部屋数は多い方がやれることも充実するだろう
それ以外にも理由はあって、真慕に俺は「安心できる場所」というのを作ってあげたい
それが帰る家となるのなら尚更。
元々繊細な子ではあったのだろう
それに加えて過去の事件があって。
真慕は「人」にかなり敏感。
家を出るにしても今のままではエレベーターで他人と乗り合わせてしまうことも結構ある。そういう些細なことでも緊張するし、怯える。部屋にいても上下隣に知らない人がいる状況じゃなくて、一軒家で人の存在を気にせずリラックスしてほしかった
そういう安心できる場所があれば真慕が最近頑張っている出かけ先での店員さんとのやりとりなんかもオンオフが切り替えられるだろう
何より、真慕は俺と結婚をしてくれた
一生そばにいることを許してくれた
少しでもいい環境で過ごして欲しい
「そろそろ完成するんだって。今日一緒に見に行かない?」
一軒家には昔から夢があった
いつかは建てたい、ずっとそう思っていた。
そこに真慕がいてくれたら。なんて思っては叶わないと否定して、でもつい真慕がお家で帰りを待っていてくれたらどんなに嬉しいかってまた考えて。
「……夕方、とかでもいい?」
「お外怖い?」
直接問えば唇をきゅっと噛んで俯いてしまう
「…なんか、考えちゃって…その、ごめん」
ついこの前だ。
お人形ランドで怖い思いをした
記憶とどうしても結びついてしまい、外への恐怖心が再度強くなった
「ううん、俺も無理言ってごめんね」
「…俺も、行きたい、から。」
「ありがとう。美味しい物食べながら行こうか」
「うん…ありがと」
それでも、前はそんな時「やだ」と一言だけ言って恐怖の殻に閉じこもっていたのに、今はそんな中でも行こうとしてくれて、そして気持ちを教えてくれる
なんだか本当に大切にしてあげないと。と改めて思う
「お昼ご飯は何食べたい?なんでも作れるよ」
イメージしやすいようにとレシピ本を持って真慕の座るソファに腰かければ、ぴと。とくっつかれた
俺よりも体温は少し低くて、ひんやりしてる。でも柔らかい。
可愛い。
真慕可愛い。
そばに行ったらくっついた。可愛い
「俺も手伝う」
ついにはそんな言葉まで。
「っあ、ありがとう」
思い切り動揺で短い単語を噛む。
お昼は一緒にオムライスを作って食べた
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