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301 お家
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俺は何度か顔を出していた
設計事務所も良心的な人が多かったが、現場の人たちも雰囲気がいい
家ができて、何年経っても、関わってくれた人への恩は忘れずにいたいなと思う
設計の際、家族構成を聞かれた。
真慕と2人だということを伝えると、真慕の性格まで聞かれた
家にいる頻度、過ごし方、機能面。
本当に親身に考えてくれた
設計事務所の人はあくまで仕事でそれをしてくれた。けれどもそこにはその人の思いやりがあって、真慕にとっても過ごしやすい家を。と考えてくれたのだ
彼が怯える世界にも知らないところで、思って考えてくれている人がいるといつか気づいてくれると嬉しい
それは昔のあの事件の時もそうだった
当時はそれどころではなかったし、本人にそれが伝わることは無かったけれど新聞にも載ったその事件で心を痛め、心の底から真慕を案じてくれた人も多かった
悪い人もいれば、いい人も。
人はどちらにでもなり得る。
もう怖い思いなんて少しだってして欲しくない。
色んな優しさに触れていてほしい
でも、そうは思うけど実際俺の知らないところで楽しく色々な友好関係を築いたら1秒で妬くだろうし穏やかではいられないだろうから、もう最初から矛盾していて思わず嘲笑する
「…葵」
「ん?」
可愛い声に呼ばれてそばに行けば「眠くなってきた」なんて言われて思わず笑ってしまう
「そろそろ行くよ?」
ぽんぽん、と背中を撫でれば先程触れた時より体が温かくなっていてあ、ほんとに眠いんだ。と癒される
でも今日行くと伝えてしまっているし。
何か眠そうにもじょもじょ言っているが靴下を履かせ、アウターを着せた
「抱っこしていい?」
両手を広げれば少し考えたあと「自分で歩ける」と小さく欠伸をしながら断られてしまった
「葵〜」
直ぐに俺を呼ぶ姿は本当に可愛い。
返事をすると直ぐに向かった
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