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ヒーリング効果 (2)
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部屋に明かりが着いていのが、窓からわかった。
あぁ、そういえば奏和さんがいるんだった。
この短時間ですっかり忘れていたが、俺は少し嬉しくなった。
ただいまと言ってリビングに向かうと、ソファに座っている奏和さんがいた。無意識に、体がそっちに向かっていた。音で気づいた奏和さんがこっちを向いた。
「おかえっ……り」
俺はソファ越しに後ろから抱きしめて顔を首元に埋めた。奏和さんは少し驚いたみたいだったが、優しく頭をポンポンとしてくれた。顔を少し上げると、すぐ近くに奏和さんの顔があった。
あ、メガネ。
手元には半分以上ページが過ぎた本が開かれたまま置かれていた。
随分、待たせちゃったかな。
俺は抱きしめる力を少し強くした。こうしているだけで、何だか癒されるような気がした。この人には何か癒し効果でもあるのかな。
あ……そうだ。もし、奏和さんに癒してって頼んだら、癒してくれるかな。いやでも、奏和さんからそういうことしないしな…んー……。
ふと、少し悪い考えが過ぎった。
でも、ちょっとだけ困ってる奏和さんも見てみたい、かも。
俺は好奇心が抑えられず、抱きしめていた手を離し、奏和さんの隣に座った。
「どうした?」
コテンと首を傾げながら奏和さんが聞いた。
これを天然でやっているのだから余計タチが悪い。もう奏和さんがいるだけで癒し効果があるんじゃないかと思った。
いやいや、こんな時でしか頼めないし、頼んでみよう。
「……奏和さん。俺のこと、癒してくれません?」
「え?」
奏和さんは思ってたよりも素っ頓狂な声を出した。
「癒すって……どうやって?」
「それは、奏和さんが自分で考えて?」
「えぇ…。いきなりそんなこと…」
んー、と悩ましげな声を出しながら、気難しそうな顔をした。
そんな顔しちゃって。せっかくの美人さんに似合わないですよ。
てか、ちゃんと考えてくれるんだ。てっきり断られるかと思ったのに。自分で言っときながら思うけど、こんな無茶なお願いすごく困るだろうに。真面目というか、優しいというか、甘い人?こんなお願いも聞いてくれるとは、俺にだけこんなに優しいのかなと自惚れてしまいそうだ。実際そうであってほしいけど。
奏和さんは、一体どういうことをしてくれるのかな。
「…よし」
奏和さんがボソッと呟いた。
何か思いついたみたいだ。
俺は内心楽しみにしながら待った。
奏和さんは俺の方に体を向けた。俺もそれに合わせて体の向きを。すると、頭に手を置かれ、優しく撫でられた。
頭を撫でられたのなんて、何年ぶりだろ。
少しこそばゆい感じがしたが、嫌な感じは全くしなかった。
「お疲れ様。よく頑張ったな、えらいよ」
そう言って奏和さんは微笑んだ。
はあぁーーーーー。
俺は思わず手で顔を覆った。
何ですかあの顔はーー女神が現れたのかと思った。いやもうあれは自分の顔の良さをわかってやってるでしょ。
はぁ……ほんとこの人には敵わないな。
これで喜ぶ俺が単純野郎なだけかもしれないけれど。
なかなか喋らずに固まる俺を見て、奏和さんは不安げな声で言った。
「やっぱり、これだけじゃ癒されないか?」
いやもう癒されたというかやられましたよ。
俺は深呼吸をしてやっと声を出した。
「いや、十分なほど癒されました。ありがとうございます」
「本当に?あれだけでいいのか?」
不安げな顔はまだなおっていなかった。
「あれだけって、他にもまだあるの?」
奏和さんはしまった…というような顔をした。
俺はニヤけるのを抑えて言った。
「実はまだ、癒され足りないって言ったら、どうしてくれます?」
耳元で言うと、奏和さんはビクッとして赤くなった顔で少し睨んだ。
「さっき十分だって言っただろっ」
「"今"は十分かもしれないけど、今後も忙しいだろうし、補充しておきたいなぁ」
少し黙り込んだ後、奏和さんは口を開いた。
「…も、もう玲緒くんに何をしたら癒されるのか、わからない……だから、玲緒くんの勝手にしなよ……」
あぁ、ずるい。
ほんと、俺を煽るのがうまいんだから。
「……じゃあ、遠慮なく。勝手にしろって言ったの、奏和さんですからね」
奏和さんがコクっと頷いたのを合図に、俺は奏和さんを押し倒した。
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