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酔いすぎ注意
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「ただいまぁ」
玄関から気の抜けた声が聞こえた。
これは、嫌な予感がするな…。
数時間前、打ち上げに行ってくるという内容のメッセージが送られていた。ということはとうぜん酒を飲む。
飲みすぎんなよって返したのに…全く。
俺はため息をついた。顔を上げると、ゆっくりとこっちに近づいてきて隣に、ソファの背にもたれかかった。
「お前…どれだけ飲んだの」
「んー、そんなにですよぉ」
顔を赤くしながら、舌っ足らずな口調で言われてもなんの説得力もない。
これはめっちゃ酔ってんじゃん。何でこんなになるまで飲んだの。
内心呆れているとも知らずに、玲緒くんの表情は緩みきっている。
とりあえず水を飲ませよう。そう思い台所に向かおうと立ち上がると、不意に手を掴まれた。
「なに?」
聞いても反応がない。
え、寝ちゃった?
確認するために顔を覗き込むと目が合った。
いや起きてるんじゃん。
もう一度聞くと、んへへと笑って言った。
「かなとさん、すきですよー」
酔ってるからか潤んだ瞳で見つめられる。それだけで一気に胸が高鳴った。
ほんと心臓に悪い。
玲緒くんは酔うとすぐこういうことを言う。
普段からも好きとは言われるし、最近は酔うことがなかったからまだよかったけど…いつまで経っても慣れない。
「ありがと、でも酔いすぎ。今水持ってくるから」
そう言って離れようとすると、さっきよりも強い力で手を掴まれ引っ張られた。想像よりも強い力で、思わずバランスを崩してまたしてもソファに座ることになった。
「うわっ!ちょっと、玲緒くん!」
「かなとさんは俺のこと好きじゃないの?」
手を掴んだまま、ぐいっと近づいてきて言った。ほのかに酒の匂いがする。
これは、言うまで離してくれない感じかな…。
「好き」と言うのは、なかなか小っ恥ずかしく感じる。言い慣れてないのもあるかもしれないが、言いづらい。もしくは変なプライドでもあるのかな。
「俺のこと、きらい?」
また潤んだ瞳で見つめられる。だからその顔をやめてくれ、胸が締め付けられるから。
もう言うしかない。俺は腹を括った。
「…す、好きだよ。だから、一旦手離して、な?」
そう言うと玲緒くんはニコッと嬉しそうな顔をして、素直に手を離してくれた。一瞬玲緒くんに犬の耳としっぽが見えた気がした。
ありがと、とお礼を言い、やっと水を持ってくることができた。コップに入った水を渡すと、玲緒くんは何口か飲んで息を吐いた。
「落ち着いたか?」
「……まあ、少しは」
さっきよりもはっきり話せているということは、少しは酔いが醒めたのだろう。
「珍しいな。玲緒くんが飲みすぎるなんて」
「いや、なんか、きょうは皆テンション高くて。それでどんどんお酒勧められて。断るにも断りきれなくて、飲んじゃいました」
眉を下げて困ったような顔をしながら笑った。
「それは災難だったな」
酒を飲んだ者のノリの恐ろしさは痛いほど分かっているつもりだ。
俺は酒に弱く、コップ一杯飲んだだけですぐに酔ってしまう(なんなら酒の入ったチョコですら酔う)。だから、打ち上げなどに参加したとしても絶対に酒は飲まないし、勧められても断り続けている。それはもううんざりするほど勧められるが、意思が揺らいだことは無い。
「もう色々とヘトヘト」
そう言って玲緒くんはまたソファにもたれかかった。俺はその隣に座った。
……なにか視線を感じる。
しばらくくつろいでいると、横から視線を感じた。隣を横目で見ると、玲緒くんがこっちをじっと見ていた。なにかおかしな所でもあるだろうか。そんなに見られると気が散るのだけど…。
しばらく経っても玲緒くんは何も言わない。
もう見られすぎて穴でも空いてしまうのではないかとも思ってしまう。
俺は耐えきれずに言った。
「そんなに見つめられても困るんだけど…」
「……奏和さんって、綺麗ですよね」
「は?」
「ずっと思ってはいたんですけど、やっぱ綺麗だなぁって改めて思いました。かっこいいし、かわいいし、もう全てが詰まってますよね。そりゃあ奏和さんを好きになるのは当たり前だなぁって」
玲緒くんは頬を緩ませながら言った。
思いもしなかった言葉にどんどん体が熱くなる。
「な、に言ってんの」
恥ずかしさを隠すために顔を逸らした。
「奏和さんこっち向いて」
まだ気持ちが落ち着かずに顔を逸らしたままでいると、そっと顔を触られた。驚いて少し顔を向けると、両手で優しく包まれた。自然と顔を向ける形になり、逸らすことを許されなくなった。玲緒くんはふっと微笑んだ。
「愛してます」
気づけば唇を奪われていた。
最初は触れるだけのキスが続いたが、次第に長くなっていった。苦しくなって息を吸うために口を開けると、すかさず舌が入ってくる。
あっという間に舌を絡め取られ、息をつく暇がないほど口の中で動く。動く度に酒の味が微かにした。
「んっ…ふぅ…」
静かな部屋に、荒い息遣いと恥ずかしくなるほどの水音が響き渡る。唇が離れたと思っても、またすぐに口付けられる。これじゃほんとに息が出来なくなりそうだ。玲緒くんの胸を叩くも、気づいていないのかやめる気配がない。本格的に苦しくなり、叩く力を強くするとやっと口が離れた。必死に息を整えていると、玲緒くんは近づいてきてまた口付けようとする。俺はその口を手で塞いだ。玲緒くんは一瞬驚いた顔をして、なんで?とくぐもった声で聞いた。
「はぁ、まっ、て……さすがに、苦しい…」
そう言うと玲緒くんは大人しく待ってくれた。
と思ったが、まだ息が整わない間に玲緒くんは塞いでいる手を舐めた。俺は驚いて手を離してしまい、その隙に手を掴まれた。これじゃ防ぐ術がない。数分、数秒も経たないうちに口付けは再開された。
まだ十分に整ってないのに…!
キスをすればするほど、長く深いものに変わっていく。どちらの唾液か分からなくなるほどぐちゃぐちゃに混ざり合い、飲み込めなかった唾液が口の端から流れていった。
まだ続くのか…。
さっきからずっとキスばかりだ。まるで焦らされてる状態だ。下の方がうずうずしてたまらない。動かしたくないのに、自然と腰が動く。
「腰、動いてますよ」
口に出されて一気に羞恥心が湧いた。
「キスだけでこんなになっちゃうんですね」
服の上からそれに触れられる。思わず反応しそうになったが何とか耐えた。緩やかに触られ続け、微妙な快感がとてももどかしく感じる。
やめろという意味で睨むも効果なし。なんなら逆効果だった。
「じゃあキスだけでイけるか、試してみようか?」
俺は玲緒くんが言った言葉が信じられなかった。
酔ってるからっていくらなんでも…!
「は?!何言って──んん!」
反論する前に唇を塞がれた。
もう玲緒くんで酔いそうだ……。
*
朝起きたら唇が真っ赤になっていた。
ーーーーー
「あ、おはようございます奏和さん。…あれ、奏和さん唇腫れてる?リップいります?」
「あぁ、ありがと。けどこれ玲緒くんのせいだからな」
「…ごめんなさい」
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