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温もり
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彼は求めていた
優しさを
温もりを
彼は周りから見ればとても可哀想な子であっただろう。
真っ赤なマフラーが視界をよぎる。
そこには優しさもぬくもりもあった。
だが、なにか足りなかった。
彼女は求めていたものを全て満たしてくれた。
だが、足りない。
こんなのただの我儘だ。
これ以上何を求めたい
自分自身でも分からなかった。
思い出は色褪せる
だんだん
目を開けるのが怖くなる
この真っ赤な目が人にみられるのが怖い
化け物
僕は化け物だ
化け物が求めたりしてはいけないのだ
化け物は化け物らしく生きなければならない
分かっているのだが
彼は震えていた
怯えていた
ーーー
「お、おきたか。うなされてたぞ?」
どうやら俺は眠っていたらしい
俺は口元を緩めて全然平気そうな顔をして
「全然大丈夫っす!」
彼は少し困った顔をして小声で馬鹿と言った
俺の身体が温もりに包まれた
彼に誤魔化しは効かない
彼は大切にしてくれる
「シンタローさん。好きっす」
ー俺も
「飽きるまでそばにいてほしいっす」
ー飽きるまでな。まあ、飽きることはないんだろうが
今、この人といられる時間を
一分一秒を大切にしよう
足りないものも満たされたから
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