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重症
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腰下に当てられた手と、鼓膜を揺さぶる宇井原の声。
その全てが、俺の芯に響いた。
「ちょ..っ、宇井、原」
「く..、くくくくっ、ははは!」
慌てる俺のすぐ耳元で、宇井原の高らかな笑い声が響く。
さすがの俺も、ポカンと口を開けてしまう。
「ふはっ、神崎ってまじでおもしろいよな。反応が受けすぎる」
「な、なんだよそれ..っ」
「不良受けってかんじ。素質あるんじゃね?」
「な..っ、ねぇよ!んなもん!」
つまりは、宇井原にからかわれてたってコト。
なんだよ不良受けって!意味わかんねぇし。
...俺のドキドキ返せってんだこの野郎。
「そんな拗ねんなって、悪かった」
「別に拗ねてねぇよ」
「嘘つけ。唇とがってんぞ」
ニヤニヤと嫌な笑みを向けられて、はじめて拗ねた表情をしていたことに気づいた。
「こ、れは違っ」
「いいんじゃね?受けっぽくて可愛いぞー」
「っ!..う、受け受けうるせぇんだよっ」
宇井原の口調は、明らかに俺をからかっているもの。
揶揄されているって分かっているのに、「可愛い」なんて言われてドキッとしてしまった。
(これは、まじでやばいぞ..俺)
「てか、神崎ってどこ住んでんの」
「え、城ヶ島」
「まじか、近いな。俺その一個手前の駅だぞ」
「ふ、ふーん」
「なんだよその反応は」
「べつに」
近いって言っても、隣の市ってことだろ。
電車なら近いけど自転車なら普通に遠い。
でも、宇井原に近いって言われたのが何かすげえ嬉しかった。
...マジで重症だ。
それから二人で電車に乗って、宇井原は俺の一個手前の駅で降りて、俺はそのまま自分の家に向かう。
じゃあなって手を振られた俺は、一人電車の中できっと気持ち悪いくらいニヤニヤしてたと思う。
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