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思い、馳せる
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「今更なこと聞くなよ。この前電話で話しまくっただろーが」
「いや、でも、相手男だぞ。神崎くんは、性別って知ってるカナ?」
「殺されてぇのかおい」
明らかになめてる。
小さいガキに言い聞かせるような緩い口調で話すバカに、つい青筋がたった。
「俺は偏見は持ってねぇ!好きになっちまったもんはしょうがねえだろ!」
そう、好きになっちゃったから仕方ないんだ。
宇井原がかっこいいのが悪い。
「...変なとこで男前だよなほんと」
「褒めんな照れる」
「黙れ」
抑揚のない声で制され、本題からどんどん遠のいていっていることに気づく。
こんな奴とどうでもいい話を繰り広げてる場合じゃねえんだよっ!
「ってことで、岩瀬はちゃんと教室にいろよ!」
「いやいやいや、話繋がってねぇよ」
「なんでもいいんだよ!絶対いろよな」
「...カンガエトク」
「棒読み死ねコラ」
なめた態度ばっかとりやがる岩瀬に必殺チョップを食らわせて、俺は屋上を後にした。
昼寝は、屋上よりそこらへんの教室のがずっとよく寝れるのだ。
きっと宇井原は、今頃授業中だろう。
同じクラスだったらどれだけよかったことか。
そしたら絶対授業にもちゃんと出るのに。
...ここの教師どもは馬鹿ばっかだな。
今日はまだ一回も宇井原に会っていない。
昨日は緊張して昼休みしか話せなかった。
(あーあ、会いてぇな...)
ボロい校舎の、ボロい天井を見上げて、しみじみと目を閉じた。
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