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好きな人だから、
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今まで、ずっと気になってたことがある。
怖くて中々聞き出せなかったこと。
眼鏡と長い前髪であんまり顔ははっきり見えないけど、宇井腹はそこそこの顔をしてると思う。
身長だって高いし、きっと彼女がいたこともあるだろう。
「う、宇井原」
「ん?なに」
「その、宇井原って彼女いんの?」
「は?いないけど」
いきなり何だ、と向けられた目は明らかに俺を怪しんでいる。
「だって、それ女もんだし」
彼女へのプレゼントかなって思って..。
...だめだ。自分で考えといてヘコむ。
「ああ、これ?これは姉貴のだよ」
「姉貴、いるのか」
「もうすぐ誕生日だからさ。ちゃんと買わねぇとうるさいんだよ」
「そ、そうなんだ」
お姉さんへの誕生日プレゼント。
予想していた最悪の展開にならなかったことに安堵のため息をつく。
...ありきたりっちゃあ、ありきたりの結果だったけどよかった。
即諦めなきゃいけなくなるところだった..。
「神崎は居んの?」
「え、なにが」
「彼女に決まってんだろうが」
「俺はいねぇよ」
何となく恥ずかしくてプイッと顔を背けると、拍子抜けしたような声が聞こえてきた。
「意外だな、遊んでそうなのに」
きっと、その言葉に深い意味はないんだと思う。
でも、何となく宇井原には遊んでそうだとか、そんな風に思ってほしくなくて..。
だからそれは無意識てきに
「好きな人はいる」
ポロリとこぼれ落ちるように、放ってしまった言葉だった。
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