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最悪の客人
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「もしもし、何の用だよ」
『お前、今宇井原と一緒か?』
「あ?ああ」
電話に出た第一声がそれかよ。
なんで宇井原が出てくるんだと、眉間にシワがよった。
『まじかよ、お前らはよ家帰れ』
「はぁ?なんでだよ」
意味がわかんねぇとキレ気味になる。
まだ4時だぞ。
いい子だって遊んでる時間だ。
『飯田だよ、飯田祥哉』
「あ?飯田...?あー..あのイカレ野郎か」
『そうだよ、あのイカレ野郎だ。お前のファンの』
「飯田がなんだよ」
『お前を探してんだよ』
「は?何でだよ」
『知らねーよ、お前のことが大好きだからだろ』
「ははっ、笑えねぇ」
『今、宇井原といんなら早く帰れ。お前、喧嘩売られるぞ』
「別によくね?買えばいいだけ..」
『いいのか?宇井原の前だぞ』
俺の言葉をかき消して覆いかぶさってきた岩瀬。
その言葉に、俺は宇井原をみた。
宇井原の前で喧嘩をするってことは、飯田が宇井原に興味を持つかもしれない。
それ以前に、宇井原が引いてしまったら?
もともと、宇井原は俺らみたいなやつと連むような奴じゃない。
そんなやつに、あんな喧嘩バカとの喧嘩を見せんのかよ。
ふと、二日前の朝、宇井原と登校していた男を思い出した。
だって、宇井原にとっては俺と連むよりああいう奴と居た方がずっと自然だろ。
そんな奴に喧嘩してる姿なんか見せたら、二度と口聞いてもらえなくなるんじゃねえか?
そう考えたら、自分で信じられないくらい怖かった。
「宇井原..、やっぱ今日はもう」
今日はもう帰ろう。
そう言おうとした瞬間、
「こんなところに居やがったのかよ、神崎ぃ」
随分と久しぶりに聞いた声が鼓膜を揺さぶる。
(...なんつータイミングの悪さだ)
一つでかいため息をついた俺は、まだ繋がったままの岩瀬に喋り掛ける。
「...もう手遅れだったわ」
それだけ言って、俺は電話を切った。
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