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第二章 父の悩みは尽きないのです③
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すると奥からクスクスと笑う声が聞こえた。
僕が不思議に思って見ると、いつの間にか奥の座席に女性が座っている。
「あれ?すみません!いらしてたんですね」
慌ててお水を入れて、メニューを片手に近付く。
「いえ。私こそ、タイミングが悪い時に入ってしまったみたいで…。」
そう言うと、にっこりと微笑んだ。
いかにもキャリアウーマン風の、スーツをビシっと着こなした綺麗な女性だった。
彼女はケーキセットを頼むと、僕のコーヒーを淹れている様子を遠くから観察しているようだった。
綺麗な女性に見つめられるのに慣れていなくて、なんだか緊張してしまう。
「お待たせいたしました」
ケーキセットを置くと、彼女は僕のケーキをお皿を目の高さに持って行きいろんな角度から眺めている。
今日のタルトは、ベークドチーズケーキ風に焼いたタルトの上に生クリームを乗せて、苺を乗せた簡単な物。
デコレーションも、そんなに特にこだわってはいないんだけど…。
そう思ってその人を遠巻きに眺めていると、ケーキを一口食べて驚いた顔をしていた。
「?」
なんか変な物でも入れたかな?
そう考えながらショーケースのケーキを眺めていると、この時間帯の常連さんがやって来た。
「ハルちゃん。今日のケーキは何?」
「苺ですよ」
「ええ~!苺?」
「嫌なら、食べなくて良いですよ」
「嘘嘘!ケーキセットお願い」
いつも15時を待って来て下さる主婦の大貫さんと話していると、視線を感じて女性の方を見た。目が合うと、にっこりと微笑まれる。
その綺麗な笑顔にドギマギしていると、大貫さんが耳元で
「ねぇ、ハルちゃん。あの綺麗な人誰?ハルちゃんの彼女?」
って聞かれた。
「ち…違いますよ!今日、初めてのお客様です」
小声で返すと、大貫さんは「つまらな~い」って言いながら、スマホを鞄から取り出した。おそらく、いつものメンバーが集まるのだろう。
僕は4人分のコーヒーとケーキを用意して、大貫さんのテーブルに揃った頃にケーキセットを人数分運んだ。
「きゃ~!ハルちゃん、分かってる~」
「そんなに気が利くのに、独り身って寂しいわね~」
「ハルちゃん、綺麗な顔をしてるのにね~。勿体ない」
「あ!もしかして、女性にモテ無くて男性にモテるんじゃない?ハルちゃん、女の子みたいだもんね~」
女が三人寄ればなんとやら…。
まぁ…ピーチクパーチク言いたい事を言ってくれる。
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