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第四章 永遠に①
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『チリン』
お店のドアが開き
「いつものね」
常連のお客様の声。
「いらっしゃいませ」
僕と蓮が声を合わせて応えると
「蓮君も、すっかりウエイター姿が板に着いて来たね」
小島さんが「うんうん」って頷きながら呟く。
あれから2年が経過した。
蓮は大学のバスケ推薦を蹴って、このお店で一緒に働いている。
お陰様で、蓮目当てのお客様が増えて助かってはいるけど…
「なんになさいますか?」
オーダーを取る時は、相変わらず無愛想なんだよね。
蓮の様子を見て苦笑いをしていると、お店のドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
笑顔で視線を向けると、あれ以来、通い続けてくれている蔦田様だった。
未だにお店の話を持ち掛けられているけど…
「いらっしゃいませ!」
蓮は蔦田様の視界をわざとブロックするように立ちはだかる。
「ちょっと…蓮君、わざと視界を遮っているだろう?」
「何がですか?」
「そこに立たれたら、悠稀君が見えないんだけど?」
「蔦田様、コーヒーを飲みにいらっしゃっているんですよね?」
睨みを効かす蓮に、僕はお店のシルバートレイで蓮の頭を軽く叩く。
「こら!蓮、失礼な態度をするな!」
「痛ぇ!」
「すみません、蔦田様」
最近、蔦田様がハマっているたまごサンドとコーヒーを出すと
「お詫びにデートしてくれたら嬉しいな」
と、手を握られて微笑まれる。
そんな蔦田様の手から、蓮が僕の手を引き剥がして
「蔦田様…。次にハルに触ったら、その手をへし折りますよ!」
と睨んで、僕をカウンターへと押し戻す。
…これ、毎朝の恒例になっている。
慌ただしい朝の時間が過ぎ、15時に昼休みになる。
お店にお客様が居なくなる時間に、交代で軽い食事を食べて店に戻る。
蓮が作ってくれた昼食を取り、お店に戻ろうと自宅から店舗へと繋がる階段を降りて行くと、蓮がお店から中へと入って来た。
「蓮?どうした?」
声を掛けると
「今、店に客がいないから…」
そう言って、僕の腕を引き寄せた。
すっぽりと入る蓮の腕の中に顔を埋めると
「ハル…」
って、少し掠れた声で呼ばれる。
僕が視線を向けると、蓮の大きな両手が僕の頬を包んで唇にキスが降りてくる。
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