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第二章 父の悩みは尽きないのです②
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僕が苦笑いしながら
「僕の息子です。高校に入ってから、反抗期で困ってるんですよ」
そう答えると、彼は驚いた顔をして
「え!きみ、若そうに見えるのに、そんなに大きなお子さんが居るの?」
と叫ばれてしまう。
僕が苦笑いしてうやむやにしようとすると
「そうか…。きみは…結婚しているのか…」
と、残念そうに呟かれた。
会計をする時も、僕の顔を見ては「はぁ…」と溜息を吐いて出て行った。
「ありがとうございました」
僕は笑顔で見送り、後片付けをしながら首を傾げる。
(何だったんだ?一体?)
意味不明な行動に疑問を持ちながらも、テーブルを片付けて食器を洗いながら午後の準備を始める。
僕は両親に製菓の専門学校へ通わせてもらっていた。
なので、15時から販売しているケーキは僕が作ったケーキになる。
ただ、家の事やモーニングをやっているので、そんなに数は作れないけど…。
クッキーとシュークリーム。季節のタルトを置いているだけだが、中々お客様からは評判が良い。ランチで賑わう近場の飲食店を横目に、いつもの常連さん達がご飯を食べた後にうちでコーヒーを飲んでくれるのも本当に助かっている。
「ハルちゃんの淹れるコーヒーは旨いからな」
その笑顔だけで、毎日、朝早くから遅くまで正直大変だけど頑張れている。
そんな時、お店に一本の電話が入る。
近くにある会社の会議で、うちのお店のコーヒーを出前して欲しいという依頼だった。
ただ、うちは蓮が学校から戻るまでは僕が一人でやっているので、出前は無理なんだよね…。大変申し訳なかったのだが、丁重にお断りをさせて頂いた。
最近、うちのお店の評判を聞いて色々と有難いお話を頂くが、手広くすればそれなりにリスクを伴うのでお断りしている。
お店の小さなショーケースに今日の分を陳列していると、お客様が入って来た。
「いらっしゃいませ」
笑顔で出迎えると、若い女子高生が入って来て
「え~、まだいないじゃん」
「中で、来るまで待ってれば良くない?」
って会話しながら入って来る。
あれは…蓮目当ての女子高生だ…。
僕はメニューを持って行きながら
「ごめんね。今日、蓮は部活があるから来ないけど…大丈夫?」
と確認を取る。
すると鞄からメイク道着を出していた彼女達は
「マジで?じゃあ、帰ります」
って、そそくさと退散していった。
僕は溜息を吐きながら、彼女達に入れた水とメニューを持ってカウンターに戻る。
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