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第二章 父の悩みは尽きないのです⑧
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「ねぇ…ハル。俺のモノにならないなら、殺しても良い?」
うっとりとするような口調で呟き、蓮の手が僕の首を絞めるように触れた。
僕は覚悟を決めて、ゆっくりと目を閉じた。
今の蓮に何を言っても届かない。それなら…、好きにさせるしかない。
そう思って目を閉じていると、頬に冷たいモノがポツ…ポツ…っと落ちて来る。
驚いて目を開けると、蓮の瞳から涙が流れていた。
「どうして抵抗しないの?俺…ハルを殺そうとしてるんだよ?」
まるで子供のように泣いている蓮に
「お前に殺されるなら…仕方ないかな…って。まぁ、親としてはお前を殺人犯にしたくはないけどな…。」
思ったより冷静な言葉に、自分で自分に苦笑いしてしまう。
すると蓮は僕を抱き締めて
「ハル…好きなんだ…。ずっと、俺の中にはハルだけだった。ハルが居れば良いし、ハル以外は誰も要らない」
そう言って嗚咽を上げて泣いている。
「蓮…」
あまりに悲痛な叫び声に、僕は言葉を失う。
「ごめんなさい、ハル。ごめんなさい…」
蓮はそう言って、身体を震わせて泣いている。
抱き締めて上げたいと思うのに…腕が縛られて動かない。
「なぁ、蓮。腕のこれ、外してくれないか?」
僕が言うと、蓮が涙でぐしょぐしょの顔を上げる。
「こうされてると、お前を抱き締めたくても抱き締められないだろう?」
僕の言葉に、蓮の瞳から涙が滝のように溢れ出す。
「もう、怒ってないから…。僕は逃げないし、もう、蓮の好きなようにすれば良い」
僕の言葉に、蓮が信じられないという顔をする。
「蓮…、僕こそごめん。お前をそんなに傷付けていたなんて知らなかった。彼女とは何もなかったし…。あったとしても…手を握ったくらいかな?でも…彼女と結婚を考えたのは、蓮…お前の為だったんだ」
僕の言葉に、蓮が涙を流したままジっと見つめて居る。
「独身の僕と二人だと、お前に嫌がらせがあるんじゃないかって…。ただでさえ、若い父親でからかわれていただろう?母親が出来れば、違うと思ったんだ」
思い出すように呟き、蓮を見つめる。
「それが…こんなに蓮を傷付けてたなんて…」
制限された動きの中で、僕はそっと蓮の頬へと手を伸ばす。
すると蓮の手が僕の手を拘束していたネクタイを外した。
自由になった手で、そっと蓮の頬を両手で挟む。
「両親の葬儀でも泣かなかったのにな…」
そっと呟くと、蓮が僕の手にそっと自分の手を重ねる。
「ハルが居たから…。俺の世界は、ハルと初めて会った日からハルの為だけにあるんだ」
蓮はそう呟いた。
「馬鹿だな…。蓮の人生は、蓮の為のモノなんだぞ」
そう呟くと
「ハルの居ない人生なんて…いらない。俺は…ハルが良い。ハルさえいれば…それで良い」
強く抱き締められて、僕もそっと蓮を抱き締める。
「分かったから…、もう泣くな…」
そっと背中を撫でていると、蓮がゆっくりと唇を重ねて来た。
僕はそのキスを受け止める。
軽く触れるキスは、角度を変えて何度も落ちて来る。
そしてゆっくりと頬に触れ、首筋を辿って下へと降りて行く。
僕はその瞬間
「ちょっと待て!」
蓮の口元を手で押さえ、ストップを掛ける。
すると指の間をぬるりと舌で舐められる。
「ぎゃ!」
っと悲鳴を上げて手を離すと、蓮が荒い呼吸のまま抱き締めて来る。
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