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第三章 これからの僕達⑤
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夢を見ていた。
まだ両親も姉夫婦も生きていて、蓮が小さかった頃。
「ハルちゃん、ハルちゃん」
小さな蓮が僕に手を伸ばす。
僕が手を差し出すと、小さな手が必死に僕の手を握り締める。
「ハルちゃん…ハルちゃん…大好き」
いつも僕を追い掛ける蓮に、姉さんが呆れた顔で
「蓮は本当にハルが大好きね…」
って言って笑っていた。
ずっと続くと思っていた幸せな日々。
「ハル…ハル…」
泣きそうな顔で蓮が僕の名前を呼んでいる。蓮、なんでそんなに悲しそうな声で僕を呼ぶの?大丈夫だよ、僕は蓮の手を離したりしないから…。
「ハル!」
蓮の声に目を覚ますと、蓮が泣きそうな顔で僕の顔を覗き込んでいる。
「れ…ん…?」
昨日、イキすぎて声がガサガサになっているし、身体が鉛のように重い。
「ごめん…ハル。俺、嬉しくて…ハルにむちゃくちゃした」
僕の手を両手で握り締めて、蓮が涙を流している。
「高校生にもなって…何泣いてるんだよ」
小さく笑う僕に、蓮は
「ハルまで…俺の前から消えちゃうんじゃないかって不安だった」
そう呟いて、握り締めている僕の手を蓮の額に当てている。
大切な家族をいっぺんに失った蓮にとって、僕に何か起こる事がこんなに不安になるのだと知った。…とはいえ、今回は蓮が僕をむちゃくちゃに抱いたのが原因なので、少し反省してもらいたい気持ちはある。
「ハル…ごめん。もう、2度とこんな無茶はしない。だから、嫌いにならないでくれ…」
震える蓮の声。
そうしていると、図体はでかいけどまだまだ子供なんだな…って思ってしまう。
「蓮…反省してるか?」
呟いた僕の声に、蓮が顔を上げて頷く。
「じゃあ…今晩はオムライスが食べたい」
全身身体が痛くて、正直、食欲なんか無い。
でも、俺達が喧嘩する度、仲直りするのに作って上げていたものを口にした。
蓮はパァっと明るく笑顔になり
「うん!ありがとう、ハル」
そう答えた。
笑うとまだあどけない蓮の笑顔に、僕も笑顔で返した。
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