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「でさぁ、じゃあ俺はどっちを選べばよかったんだよぉ。どっち選んだってさぁ、無理じゃん?」
「先輩、飲み過ぎですよ。」
「うるへぇ〜…!酔ってねぇもん…。」
城崎が予約してくれた居酒屋は本当に焼き鳥が美味くて、なんなら酒も美味くて止まらなかった。
しかも完全個室。周りの客の顔が見えないから、割とぶっちゃけた話もできちゃう魔法の空間。
仕事の愚痴から始まり、今は恋愛トークに移行している。
千紗と別れたあの理不尽さを愚痴っていた。
「いいよなぁ、城崎は。モテるだろぉ?」
「そんなことないですよ。」
「嘘つけ!前他部署の子から告白されてるの見たもんね〜、俺。」
「モテたとしても、好きな人に振り向いてもらえなかったら意味ないですよ。」
城崎は少し悲しそうな顔をした。
なんでだよ。めちゃくちゃモテるじゃん。
何がそんなに不満なんだか。
「告白してきた子、可愛かったじゃん。あの子有名だぞ。可愛いって噂で持ちきり。」
「俺の好みじゃないんで。」
「お前の好みってどんなんだよ?あんな子に告白されても揺るがないくらいのその女を見てみたいね。」
「優しくて頼り甲斐のある、ちょっと馬鹿なところが可愛い人です。」
「えぇ…。頼り甲斐のあるってことは年上かぁ?」
「はい。」
「そんな奴いたっけなぁ…。」
同期とか、一つ二つ下の後輩とか思い浮かべてみるけど、こいつに見染められるような人居たかな?
酔った頭じゃ同じ後輩の顔ばっかループして当てになんねぇ。
「あー……、わっかんねぇ……。」
「そうですか。」
「てか、俺だってモテたらなぁ〜。もう今年30…。無理。おじさんじゃん…。」
「でも先輩、30には見えませんよ。体も結構締まってるし、老けて見えないし。」
「はぁ〜?おまえに言われたくねぇ〜〜。」
俺は城崎の隣に移動した。
そして体をベタベタ触った。
「ちょ?!先輩…?!」
「何なのこれ。めちゃくちゃ筋肉あるじゃん。」
「き、鍛えてますから…。てか、先輩っ…!触るのやめてください!」
「だってすげぇ、かっこいいじゃん…。俺鍛えてもこんな綺麗に筋肉つかねぇもん…。」
目の前の上腕二頭筋にうっとりする。
てか、あー、やべ。
めっちゃ眠い。
「先輩!襲いますよ………って、え?」
俺は城崎の腕にしがみついたまま寝落ちした。
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