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「綾人さんも、俺の名前呼んで?」
そんな顔でお願いされたら堪らない。
城崎の耳に顔を寄せ、小さく呟く。
「なんて?聞こえない。」
「……き………」
「もう一回、呼んでください」
「夏月…っ」
「綾人さん」
「夏月、好き……」
「ふふ。嬉しい、綾人さん」
甘ったるい朝。
たまにはこんな朝も悪くない。
自分の名前、呼ばれるだけでこんなにも幸せだったことはない。
とても特別なものに感じた。
「する前にちゃんと忠告しといたけど、俺、もう本当におまえのこと離せないよ…?」
「はい。しっかり手綱握っててくださいね。」
「俺、めちゃくちゃ引きずるし…。」
「それも悪くないですけど、別れる気はありませんよ。」
「そんなこと言って、おまえが俺に飽きちゃうかもしれないじゃん。」
「こんなに大好きで可愛くて愛しいのに?」
城崎は嬉しそうに笑った。
どうしよう。
俺、どんどん城崎にハマって抜け出せなくなってる。
もう無理だ、考えるだけ無駄。
この底無し沼みたいに深いこいつの愛から抜け出すなんてできやしないんだから。
「綾人さんこそ、俺から逃げられるなんてできると思わないでくださいね?」
「もし逃げたらどうなんの…?」
「密室に手枷足枷付けて物理的に縛ります。」
「こえーよ。」
お互いに思わずぷはっと吹き出した。
こいつのことだから、マジでやりかねない。
でも、それでいい。
もし俺が、一時の気の迷いでこいつから離れようとしたら、そうやって縛り付けてでもそばに置いて欲しい。
だって、俺は必ず城崎のところに帰ってくる。
そんな自信があるから。
「はぁ、笑ったらお腹空いたの気づいちゃいました。下のバイキング行きますか?」
「まだ二人きりでいたい…。駄目?」
「駄目なわけないでしょ。でも、先輩のお腹も鳴ってるから、ルームサービス取りますね。」
城崎は内線でルームサービスを注文し、待っている間に部屋のコーヒーメーカーで二人分の珈琲を作った。
勿論俺の大好きな甘い珈琲。
「サンキュ…」
「お礼はキスでいいですよ」
冗談めかしてそう言った城崎の唇に触れるだけのキスをすると、城崎は驚いた顔をして、嬉しそうに笑った。
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