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城崎は部屋に着くまでの間、俺の服の裾を手放そうとはしなかった。
まるで迷子になったあとの子どもみたいだ。
「ほら、着いたぞ。」
「お邪魔します。」
城崎にたくさん捨てられ、物が減った俺の家。
でもそのおかげで、城崎が安心できる場所になっていたら俺はそれで良い。
「先輩……、ギュッてして。」
「うん。」
仔犬みたいな城崎を、ぎゅぅっと安心させるように抱きしめた。
城崎は俺の首筋に顔を埋め、俺をぎゅーっと抱きしめ返す。
「先輩、先輩…」
「ちょ、擽ったい」
城崎がグリグリ俺に顔を押し付ける度、城崎の髪が俺の頬や首筋にあたる。
頭を撫でてやると、俺の手に擦り寄ってくる。
「可愛い、城崎。」
「先輩、好き…」
「うん?俺も好きだよ。」
「ごめんなさい、先輩。嫌いにならないで…」
震えた声で城崎は俺に懇願した。
もしかしてずっと謝ってる理由って、そういうこと?
俺に嫌われると思ったのか?
「城崎」
「先輩、ごめんなさい…、許して…」
「これ以上謝ったら嫌いになるぞ。」
「……?!」
城崎はパッと俺から身を離し、青褪めた顔をした。
俺はそんな城崎の首に手を回し、少し背伸びして唇を重ねる。
「先輩……?」
「もう謝らなくていいんだって。俺、ほんとに怒ってないから。」
「でも……」
「でもじゃねぇ。っていうか、俺が今更お前のこと嫌いになれるわけないだろ。言ったじゃん。お前が思ってる以上に好きだって。」
「な?」と笑って言ってやると、城崎は堪らない顔をして俺を力強く抱きしめた。
反省した仔犬みたいな城崎も可愛かったが、やっぱりいつもみたいにブンブン尻尾振って元気なのが一番良い。
「先輩、キスしたい。いいですか?」
「駄目って言ったらどうするんだよ?」
「意地悪……」
城崎は片手で俺の手を壁に縫い付け、唇を奪う。
喰むようなキスは徐々に深いキスに変わり、力が抜けて床に崩れ落ちそうになる。
城崎のもう片方の手は徐々に下に降りて行き、俺の腰骨を撫でた。
城崎の脚が俺の脚の間に割り込み、力を抜くと城崎の膝がもろに俺の股間を刺激した。
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