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次に目を覚ました時にはもう日は暮れていた。
サイドテーブルのデジタル時計は20時を表示している。
「先輩、少しなら食べられそうですか?」
「ん……」
「お粥。卵粥にしてみました。」
城崎はまだ俺の看病をしてくれていたらしい。
小さな土鍋から湯気が立ち、いい匂いが鼻をくすぐった。
口を開けると、城崎はクスクス笑って、フーフーしたお粥を俺の口に運ぶ。
「先輩、あーん。」
「ん……、美味しい……。」
「よかった。」
俺、側から見たら絶対気持ち悪いだろうな。
大の男なのにあーんしてもらってるって。
でも病人だし、多少のことは目を瞑ってほしい。
たくさんあったと思ったお粥は、城崎が食べさせてくれたおかげかあっという間になくなった。
「先輩、可愛い。」
「……うるさい。」
「キスしてもいいですか?」
「移るぞ。」
「俺、体丈夫なんで平気です。」
城崎は躊躇なく俺に唇を重ねた。
舌で唇をノックされ、城崎の舌を口内に招き入れる。
すると嫌な味が口に広がり、俺は驚いて唇を離した。
「に……、苦っ!!!」
「夜の分の薬です。」
「普通に渡せよ!!にっが!!」
口内の温度で溶け始めていた錠剤は相当苦かった。
俺はサイドテーブルにあるミネラルウォーターをガブガブ飲み干した。
苦いのと痛いのは俺すげぇ嫌なのに。
恨めしく城崎を睨むと、奴は何故かニコリと微笑んだ。
「なに笑ってんだよ…。怒ってんだぞ、俺は!」
「いや、そんな潤んだ瞳で上目遣いされたら可愛くて笑っちゃいますよ。」
「な…っ?!」
「そんなことにも気づいてない馬鹿な先輩が可愛くて萌え死にしそうです。」
「はっ…ぁふ……」
また城崎の唇が重なる。
今度は甘いキス。
普段なら勃ってそうなのに、熱があるからか勃起しなくてなんか悲しい。
「ごめんな、城崎…。」
「何がです?」
「俺、昼間城崎のこと誘ったのに、こんな熱出して結局できなくて…。」
「先輩とセックスしたくて付き合ったわけじゃないですよ。本当、そばに居れるだけで幸せなんです。」
城崎は優しい顔して、愛おしそうに俺の頭を撫でた。
なんか心臓がぎゅーっとなって、俺は城崎を抱きしめる。
「好き。大好き、城崎。」
「嬉しいです。愛してます、先輩。」
城崎に抱きしめられたまま、俺は安心感と高熱による疲労でそのまま夢の世界へと旅立った。
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