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肝心なところが抜けていた自分を殴りたい。
寝てるだろうなと思いながらも、一応城崎に「家どこ?」とメッセージを送る。
すぐに行けるように会社のコンビニでゼリーとかも買っておいたのに……。
がっくりと肩を落としながら駅まで歩いていると、城崎から返事が来た。
『先輩、病み上がりなので来ちゃ駄目です。』と。
俺はすぐさま城崎に電話をかけた。
城崎はワンコールで俺の電話に出た。
「城崎!家、どこ?」
『教えません。』
「なんで?」
『教えたら先輩来るでしょ?病み上がりなんですよ?ぶり返したらどうするんですか?』
「大丈夫だって!ていうか、城崎、熱は?何度?」
『先輩と同じくらい。でももうだいぶ引きましたから。』
俺と同じくらいって、じゃあ超しんどいじゃんか。
何でこんな時に格好つけてんだか。
何としてでも俺が看病してやる。
折れる気のない城崎に俺は切り札を切る。
「城崎。」
『なんですか?』
「会いたい。」
『え?』
「朝城崎がいなくて寂しかった。だから、会いたい。」
『…………。』
「おまえは、俺に会いたくねぇの?」
そう言うと、城崎は電話越しにため息をついた。
『先輩、それは狡い。』
「城崎が会いたくないなら行かない。」
『会いたいに決まってるじゃないですか…。もう……。最寄駅は○○駅、住所は………』
俺は通話しながらスマホのマップアプリにその住所を打ち込んだ。
「ん。じゃ、今から向かうな。」
『気をつけてくださいね。待ってます。』
通話を切り、早足で駅に向かう。
電車に乗って城崎の家の最寄り駅まで向かい、マップに誘導されるまま目的地へと向かった。
城崎の住むマンションへたどり着く。
駅からそう離れてなくて若者に人気そうな外観だ。
城崎、ここに住んでんだ…。
ドキドキしながらインターホンを押すと、スウェット姿でグッタリした顔色の悪い城崎が出迎えてくれた。
「先輩……」
「おっと。大丈夫か?思った以上に具合悪そうじゃん。」
「すみません…。」
弱った城崎を見るのは初めてかもしれない。
肩を貸してやり、リビングへ向かう。
あまりにも熱いから、ベッドに寝かせて体温計を挟むと、40度を表示していた。
「は?おい、何が下がっただよ。薬は?」
「飲みましたよ。熱は下がったって言えば先輩来ないかなって思って…。」
「何でそんな冷たいこと言うんだよ。」
「先輩に迷惑かけたくなかったからですよ…。あー、しんど…。」
余程しんどいのか、城崎は目も潤んでいるし、呼吸も荒かった。
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