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「いやぁ、すごく丁寧で端的で分かりやすい素晴らしいプレゼンだったよ!」
「お褒めに預かり光栄です。」
プレゼンが終わり、社員はぞろぞろと会議室を出ていったが、副社長も参加していたらしく、城崎は称賛の嵐を浴びている。
このプロジェクトに初めから関わっている俺でさえ「素晴らしい。」の一言に尽きるほどだ。
本当にわかりやすくて、丁寧で、抜け一つない完璧なプレゼンだった。
「質問にも全て完璧に答えてくれていたね。御社になら是非とも任せたい。契約を進めたいんだが、良いかな?」
「勿論です。お時間いただけるのであれば、今から契約の詳細などご説明させていただいてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、勿論だ。部屋を手配してくるので待っていてくれるかな?」
副社長は思うようにいかず悔しそうな顔をする常務に「良い取引先を見つけてくれたじゃないか!」と言いながら姿を消した。
だだっ広い会議室に残された俺たちは大きなため息を吐いた。
「あー、あのクソタヌキジジイ。本当性格悪いですね。」
「あんな性格悪い担当者じゃないと思ってた。見抜けなくて悪い…。」
「先輩が謝ることじゃないですよ。」
さすがの城崎も腹が立っていたようで、二人になった瞬間悪態をついた。
危なかった。城崎の経歴に泥塗るとこだった。
俺が助けてやる側なのに、完全に城崎に助けられている。
「城崎、本当すごいな…。」
「先輩との初出張ですからね。恥かかせるわけにはいきませんよ。」
「にしても資料なしでよくもあんなに…」
「元から資料なしで発表するつもりだったんで。ちゃんと頭に入れてきましたよ。」
「へ、へぇ…。」
ヤバい。
城崎、格好良すぎるだろ…。
無理だ。顔見れない。
俺多分今……
「先輩、顔真っ赤。」
「っっ!?!」
「ますます俺に惚れちゃいました?」
俺の顔を覗き込んでニヤけながら俺を弄る城崎。
マジでこいつ……。
一生勝てる気しない。
「そうだよ、悪いかよ…。」
「えっ……?」
「お前の言う通り。惚れ直した。本当にすげぇ格好良かったよ…。」
悔しいが認めざるを得ない。
いじられること覚悟で顔を上げると、城崎は顔を真っ赤に染めて照れていた。
「ちょ、見ないでください…。」
「なんかこんなこと前にもあったな。」
「先輩っ…、性格悪い…!」
「だってレアだもん。」
手で顔を隠してそっぽ向く城崎。
格好良くもあり、可愛くもある大好きな俺の恋人。
「ここが取引先じゃなかったらなぁ…。」
「何してくれるんですか?」
「ちゅー」
「それは残念。あとでたくさんご褒美くださいね?」
さっきまで照れて顔隠してたくせに、嬉しそうに甘えてくる城崎を目の前にすると、俺はイエスという選択肢しか残されていなかった。
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