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スーパーに寄って食材を買い、珍しく料理を作った。
スマホで料理のサイトを見ながら、野菜の豚肉巻きとインゲンの胡麻和えを作り、あとは味噌汁とご飯の準備。
いい匂いが立ち込める頃、インターホンが鳴って、俺は相手を確認してロックを解除した。
「ただいま、先輩っ!」
「おかえり。お疲れ様、城崎。」
「いい匂いがする!」
勢いよくドアを開けたのは残業終わりの城崎。
俺は帰り際に城崎に「家で待ってる。」とメッセージを入れた。
急いで帰ってきたのか、うっすら汗をかいているようだ。
「風呂、沸かしてるけど先に入る?」
「え、これ俗に言うアレですか?」
「どれだよ。」
「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」
「バーカ。風呂入ってこい。」
浮かれる城崎にスウェットを投げつけて洗面所に追いやった。
俺はキッチンに戻り、味噌汁を作る。
「言ってやればよかったか…?」
城崎が期待してた男が言われてみたい定番の台詞。
俺だって付き合っていた時とか想像したことの一回や二回はある。
なんかわざとらしいって分かってても、好きな人になら言ってもらいたかったりするもんだ。
「いや、でもな…。俺男だし……。」
冷静に考え直すと、好きでも男に言われたら気持ち悪いだろ。
あの台詞を言ってる自分を想像して気持ち悪くて鳥肌が立った。
城崎なら喜びそうだけど、俺が無理。
いろいろ考えていると炊飯器がご飯が炊けたことを知らせ、ハッと現実に戻った。
ご飯と味噌汁をよそって、おかずを皿に乗せてダイニングテーブルに並べる。
ちょうどタイミングよく、城崎が風呂から上がってリビングに現れた。
テーブルに並ぶ料理を見て目を輝かせる。
「わぁ!えっ?!これ先輩が作ったんですか?!」
「うん。美味いか分かんないけど。」
「いい匂い…♡絶対美味しいですよ。早く食べましょ!俺めちゃくちゃお腹空きました!」
久々に見る城崎のわんこモード。
尻尾ブンブン振って「よし」を待つ犬みたいだ。
城崎の向かい側に腰を掛ける。
「食べるか。」
「はい!いただきますっ♡」
城崎は手を合わせるなり、肉巻きを口に入れる。
幸せそうな顔で俺に微笑みかけた。
「めちゃくちゃ美味いです。」
「それはよかった。」
「俺今日頑張ってよかった…。」
俺も食べてみたけど、まぁ普通に上手くできてる。
城崎はご飯も2杯おかわりして、綺麗に完食した。
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