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買い物を終え、帰路に着く。
城崎がスーパーで食材買ってる間、俺は例の如くおつまみやビールを買い足していたから、城崎が持つ袋の中にどんなオシャレ食材が入っているかは不明だ。
4連休だから明日も休みだし、何も約束していないけど城崎は今日俺の家に泊まるのだと勝手に思っている。
「城崎、今日のメシは?」
「今日はタコライスです。」
「なんだっけ、それ。名前の割にタコは入ってないやつだよな?」
「そーそー。あ、もうこんな時間なんですね。急いで作ります。」
城崎は家に着くなり夕食の支度を始めた。
毎日当たり前のように時間を確認する腕時計。
プレゼントしたものを毎日必ず目にしてくれる嬉しさは、あげた俺本人にしかわからないと思う。
「城崎。」
「ん?なーに、先輩。」
「何もない。続けていいよ。」
二人きりになると、理由もなくつい甘えてしまいたくなる。
キッチンに立つ城崎の腰に手を回して、背中に顔をくっつける。
俺がただこうしていたいことを察した城崎は、何も言わずに俺をひっつけたまま料理を再開した。
洗ったり切ったりの工程が終わって、城崎は俺の方を振り返る。
「今から火を使いますから、先輩は向こうで待ってて?」
「………わかった。」
「すぐ出来ますからね。」
城崎は俺の前髪を上げて額にキスをした。
俺は俺で我に返って恥ずかしくなり、ソファで体育座りしたまま夕食ができるのを待った。
酔いに身を任せたくて缶ビールを一本開ける。
しばらくしていい匂いと共に食卓に食事が並べられた。
「おいひい。」
「ちゃんと飲み込んでから喋ってくださいね。」
「ん…、年寄り扱いすんな。」
「子ども扱いですよ。」
「そっちのが変だろ。」
30のおっさんを子ども扱いするのはいかがなものか。
城崎の俺に対する扱いはいつも歳上に対するものではない。
俺ってそんなに頼りないかな…。
「ちょ、先輩?」
「うるさい。」
「なんでそうなるんですか。あー、もう飲んでたんですね…。」
冷蔵庫からもう一本ビールを取り出して一気に喉に流す。
やけになってビールを煽る俺を見て城崎は驚いていたが、リビングにある空のビール缶を見て察したようにため息をついた。
だって、酔ってないとやってられない。
「先輩、もう駄目。」
「やだ。返せ!」
「ダーメ。なんで?さっきまで甘えてくれてたじゃないですか。感情の起伏が激しすぎますよ。」
「どーせ頼りないんだろ。俺は。」
「そんなこと言ってないじゃないですか。」
「うるせぇ。俺のこと歳上だと思ってないくせに。」
自分でも感情がめちゃくちゃなのは分かってる。
大学、社会人と歳を重ねるに連れ、大人らしい常識ある行動や言動をするように気をつけているつもりだ。
でも酔うとそれが制御できない。
心を許してる相手の前では尚更。
涼真にも感情ジェットコースターと言われたこともあるくらいだ。
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