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「綾人、城崎とお揃いなんだ?」
「悪いかよ…」
「いや?可愛いなーって。」
ちゅんちゅんが出て行った後、涼真が俺をいじる。
やっぱおそろいは不味かったか?
というか、ペンでバレるんじゃ時計なんて絶対やばかった。
俺、プライベート用にしてよかった…。
「あの城崎の新しい時計は綾人があげたの?」
「なっ、なんで分かんの?」
「親友の勘?」
全部バレバレで恥ずかしい。
涼真は事情を知ってるからいいとしても、勘が鋭い人にならバレるのも時間の問題じゃないかと不安になった。
「ところでさ」
「ん?」
「もうすぐ夏季休暇だけど、綾人は城崎とどっか行くの?」
不安に駆られそわそわしている俺に、涼真が休みの話を持ちかけた。
きっと気を紛らすためだと思う。
心の中で感謝した。
「伊豆に一泊二日。」
「へぇ!いいじゃん、伊豆。熱海で海とか温泉?」
「熱海と西伊豆の方。」
「西伊豆?なんかあったっけ?」
「城崎が行きたいんだって。クルーズとかかな?」
「そんなんあるんだ。また感想教えて。」
「おう。」
話してる間にみんな仕事を始めていたため、俺と涼真も仕事に取り掛かる。
仕事が始まっても、涼真は興味津々に俺に質問を投げかけてきた。
「恋人と旅行かぁ。いいなぁ。いい旅館あった?」
「うん。部屋に露天風呂付いてるヴィラ。」
「ぶっ…!やる気満々じゃん。」
「ちげぇよ。まぁ色々あんの。」
さすがにパイパンになったなんて恥ずかしくて言えない。
今まで当たり前にあったものがなくなって、慣れるまではスースーして変な感じだ。
「あ、そうそう。涼真、今年の誕生日は空いてんの?」
カレンダーを見て俺は思い出したように涼真に聞いた。
8月末に涼真は、俺より一足先に誕生日を迎える。
「彼女もいねーし空いてるけど、綾人は駄目だろ。」
「え?なんで?」
「なんでって……。城崎は嫌なんじゃねーの?俺の誕生日会二人でしてたら。」
お互いの誕生日は毎年飲みに行ってるから、今年も当たり前にするもんだと思っていた。
城崎にはちゃんと言えばいいだろって思うんだけど、違うのか?
「じゃあ城崎も呼ぶ。」
「それならいっか…?」
「いいだろ。俺は涼真の誕生日祝いたいもん。」
「ははっ!嬉しいこと言ってくれんじゃん。サンキューな、綾人。」
カレンダーの8月28日に丸をする。
一緒に仕事して8年、共に頑張ってきた親友が30歳になる。
いつもよりちょっとプレゼントも豪華にしてやろう。
涼真の喜ぶ顔を想像して楽しみになった。
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