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「先輩、ごめんなさい。」
昼休みが終わって城崎は俺に謝った。
別に城崎は何も悪いことしてないんだけどな。
「いや、いいよ。」
「それに、天丼と変えてくれてありがとうございます。」
「勝手に変えて悪かった。」
「美味しかったです。先輩こそ天丼の気分だったんじゃないですか?」
「いや、大丈夫。美味かったよ。」
なんでもない会話をしながら部署に戻る。
デスクに戻ろうとすると、城崎は何か聞きたそうにそわそわしていた。
「なに?」
「いや、伊藤さんと何話してたのかなって…」
「あぁ、そんなこと?大した話じゃねぇよ。」
「そっか…。」
城崎はしょぼんとした顔でデスクに戻っていく。
なんか勘違いしてそうだから、腕を引いて城崎を止める。
「本当に大した話じゃないぞ?」
「………はい。」
「城崎がモテてるってのと、プレゼントの話してただけ。」
「プレゼント?」
「腕時計あげたの勘付かれて、昔はそんな重いプレゼント渡したりしなかったのになって。そんだけ。」
「そうなんですね。」
別に喜ばせるようなこと言ってないのに、城崎は嬉しそうに顔をほころばせた。
相変わらずよく分からないところで喜ぶ奴だな…。
満足したならそれでいいんだけど。
「あ、そうだ。先輩。」
「ん?」
「この腕時計、いろんな人にいいねって言われました。」
「それならよかった。」
「だから恋人からもらったって、自慢しちゃいました♡」
「ばっ…?!」
城崎の口を両手で塞ぐ。
こいつ何も分かってない!!
毎日つける腕時計を大切にしていて、その上自慢してるなんて、女の子たちの見えぬ城崎の彼女への嫉妬がとんでもないことになるけど?!
バレたくない。怖い。
バレた時のことを考えると、ただでさえ社会的に終わるのに、精神的にもズタボロにされちまう。
「絶ッッッ対に俺だってバレちゃダメだからな?!」
「えぇ〜?」
「俺まだ死にたくない…。」
「先輩が死ぬ時は俺も一緒ですから、安心してくださいね。」
「怖ぇよ…。」
城崎が言うと冗談なのかどうなのか分からない。
でもこのペースで職場でイチャついてたら、本当にバレるのは時間の問題な気がする。
「おーい、城崎。ちょっと。」
「はい、行きます。じゃあ先輩、後で。」
城崎は上司に呼ばれ行ってしまった。
俺もデスクに戻って仕事を再開する。
パソコンの画面に熱海を調べた形跡があるのを涼真に散々弄られたのは、城崎には絶対内緒だ。
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