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サタ……兄ちゃん
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チーズティーは初めて飲んだけど、クリーミーな甘さですいすい飲んじゃったから手持ち無沙汰になってしまった。
最初見た時は僕の好きな青やぁ、って感動した建てる前から話題だったタワーもずっと観ていれば暗闇で必死にもがく僕みたいでイヤになってきたし。
待ち人の情報は顔とサタというネーム、あとは『ブラッドセーフ』という合言葉だけ。
まぁ、僕も最低限の情報しか渡してないけど。
この方がやりやすいし、楽。
全然淋しくないよ。
急に甘い香りがした。
これはチューベローズ。
「合言葉をお願いします」
優しい声がスッと耳に入って来る。
横を向くと、黒ずくめの服から白い肌がちらりと見える黒髪の男性が口角を上げて立っていた。
「ブラッドセーフ」
小さく、でもはっきりと言うと、僕に手を差し出した。
「サタです。今日1日よろしくお願いします」
確かめるように、サタと名乗った人の顔を見る。
黒髪に色白の長い顔で、ポテッとしてはる赤い唇が三日月に沿っていて、とても美しい。
これから僕はこの人に全てを捧げる。
この人を見つけた時に決めて、今も揺らいでない。
今、喰われてもええなぁと思って唾を飲み込む。
「キオです。今日が最高の1日になるように、頑張りましょうね」
僕は負けじとキラースマイルを浮かべて、その手を取った。
「えっ!?」
ただの握手だと思っとったんに、いきなり力ずくで引っ張られて、サタの近くまで連れてこられた。
びっくりして目を見開いている僕の身体を回転させて壁に押しつけて、首筋に思い切り噛みつくサタ。
ペチャ……ペチャ
聞き慣れない音。
「あっ……あ、あ」
拙い喘ぎ声。
不思議な気持ち、だけどイヤじゃない気持ち良さが身体を包む。
グッと力を加われば、ハァと吐息がただ漏れる。
じわじわと身体が痺れ、頭がふわふわしてーー。
トントンと叩かれて僕は寝てしまったことに気づく。
んぅと声を上げたけど、ふわふわしたまま。
目の前にサタの綺麗な顔が……幸せ。
「こんなに気持ちええんやねぇ」
僕はヘラッと笑った。
でも、サタは目が泳いでいた。
「なおしてきましたか?」
「はい、もうまっさらにしてきました」
さっきの儀式はなかったかのように、向かい合わせに座り、淡々と報連相をする。
「私のことは兄ちゃんと呼んでください、タメ口で結構です……私もタメ口で話しますから」
兄ちゃんか、じゃあ僕は。
「じゃあ、兄ちゃん。1つお願いしてもええ?」
恥ずかしいからオドオドしながら言うと、サタ……兄ちゃんはどうぞと穏やかに微笑んだ。
「必ずとは言わんけど……話す時はなるべくキオって呼んでな」
僕は左頬を右手で掻く。
「わかったよ、キオ。じゃあ、行こうか」
兄ちゃんが強調して言ってくれたから、僕は嬉しくて明るい声でうんっ、と声を上げて立ち上がった。
「本当に困ったやつだから、手をつないでやるから」
大きい白い手が僕の手を自然に握って引っ張ってくれる。
もうドキドキとワクワクが止まらないんだ。
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