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青臭い
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ここまでの話を聞いて、あなた達は今きっとこう思いながら読んでいるのだろう。
「2人は小さい頃から喧嘩して仲良くしてきたんだろうなぁ」と。
でも、それは違う。
2人が出会ったのはほんの1年前のこと。
高校1年生の時の2回目の席替えで隣同士になったのがきっかけである。
二人はその時に初めてお互いのことを知った。
クラスの中では中竹はあまり目立たない文化系タイプ、安倍は人気者の運動系タイプだったため、話をしたことがなかったのである。
ある日の昼休み、中竹は気になったことを聞くために、初めて話しかけた。
「なんでそんなボロいの着てるん? えっと……」
安倍はなぜか話さず、ノートの端に"安倍"と書いて渡した。
「あべ?」
「あんばいだよ、中途半端さん」
安倍はわざとらしく言う。
中竹は苦笑をしながらすぐこう返した。
「そんなにボロいの着てるなんて、塩梅悪いんちゃう?」
それを聞いた安倍はムッとする。
「これは応援団員の服なだけさ。そんなのもわからない竹でも竹の子でもないお前に言われたくな~い」
イラつかせるように、嘲笑うように言い放つ安倍。
「俺は成長する見込みがまだあるわ。でも、君はそのまんま……残念やわ」
中竹は冷静に言って安部をチラッと見た後、クスッと笑った。
安倍の中の何かがプチッと切れる。
「おい、表に出やがれ。その口を封じてやるよ」
安部は凄い剣幕で怒鳴り、いきなり立ち上がる。
ガヤガヤしていた教室の空気が静まった。
「君はアホやな。これくらいで怒るなんて」
中竹は全く動じず、冷静に言った。
「あ? 怖いのか?」
「声だけは大きいなぁ」
中竹がすくっと立つと、安倍は怯んだ。
中竹は安倍と同じくらいの長身で、身なりも綺麗に整えてるから黙っていれば美男子。
ただ本人はアパシーだから、興味もないし、やる気もないのだ。
「きょ、今日は勘弁してやるよ。おとといきやがれ」
安倍ははぜか目を泳がせて、席につく。
中竹は溜め息をついて席につき、突っ伏して寝始めた。
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