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君
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入院して、約1年と半年。
俺は高校の入学式にも行けないまま進級した…
俺の病は手術も難しいと医者が言ってた。
この病気の新薬もない…と言うことは俺は治らないのだ。
このまま'死'を待つだけ。
「よ、隼人。」
『…桐時…』
俺の病室に入って来たのは中学時代からの友人、冴島桐時(さえじま きりと)今では気兼ねなく話せるから親友と言っても良いだろう。
その桐時がまだ学校にいるはずなのになんで病室に居るのか…
『?どうしたんだよ』
「いんやー…何かお前の顏見たくなってさ」
苦笑しながら来ちゃった、なんて言うから俺も苦笑を浮かべる。
って言うことは学校抜け出して来たのか
『単位とか良いのか?』
「いーのいーの、俺っち頭良いから」
だから心配すんなと爽やかな笑顔を向けられる。
その笑顔はとても眩しくて目を細めてしまった…
『学校、楽しい?』
「んー…楽しいけど、やっぱ隼人がいない学校はつまんねぇよ?」
桐時の言葉にドキッとする隼人。
男の俺が男にときめいてどうする…なんて思うけどほんとにときめいたんだ。
真剣な瞳で見つめてくるから…
『お、俺も…早く…病気、治さなきゃな…』
治らない。
俺の病気は治らないんだよ…
どんなに世界が回ってても
俺の病気に勝てる薬なんてない
遺伝的なものだから…
それでも生きて、桐時の隣に居たいと想うのはダメなのか…
『………』
「隼人?具合悪いか?」
『や、違う。大丈夫、平気だ』
俺はちゃんと笑えてる?
顔が引きつってないか心配だ…
それでも心配そうに見てくる桐時に大丈夫だと念を押す。
それからは他愛もない話をして桐時が面会終了時間まで居てくれたから何も考えないでいれた。
「じゃ、そろそろ時間だから帰るな?」
『ん。気をつけてな?今日はありがとう』
「隼人のためなら毎日来るさ!」
またそんなことを言う…
天然タラシなのかこいつは…人の気も知らないで…なんて思ってたけど…
桐時のおかげで気分転換が出来た。
あいつは毎日でも来そうだけど桐時にも桐時の時間がある。
俺のために時間を割いて欲しくない…反面会いたいと想う気持ちはなんだろうな…
(そんなことを思いながら今日も空を見上げる)
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