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ー友情ー36
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一方、望の方は部屋を抜け出した後、屋上へと向かうとシャツのポケットから煙草を取り出し火を点けため息と共に白い煙を吐き出す。
そして屋上にあるフェンスへと寄り掛かりながらしゃがみ込むと、
「あーー! もう! どうしたらいいのかっていうのが分からねぇんだよっ!」
そう誰もいない場所で叫ぶ望。 だがここは病院の屋上。 その望の声が誰かに届く訳もなくただただ空へと消えて行くだけだった。
また、暫くして雄介はまた完全に治って望の方も返事をしないままに雄介の方は退院してしまう。
そして、望と雄介の間に何も進展がないまま数ヶ月の時が過ぎていくのだ。
一方、和也と望はまた仲良しコンビに戻ったのか午前中の外来で診察をしていた。
季節の方は冬が過ぎ春の青い風が吹き抜け暖かくなる頃。 鳥達も嬉しいそうに飛び回っている。 きっと、小鳥達の恋の季節なんだろう。
望は午前中の診察がひと段落した所で時計の方に視線を向ける。
「……後、30分位でお昼だな」
そう望の言う通り診察室にある振り子時計が11時30分を差していた。
「外科外来はそうそう午後まで掛かるって事はないからな……ま、望の処置が早いっていうのもあるんだろうけどな……」
そんな普通の会話をしていた和也と望なのだが、和也の方は病院特有の消毒液の匂いに飽きたのか窓際の方へと向かい少ししか開いてなかった窓を全開にし空を見上げる。
今日は暖かい陽気に雲一つない快晴。
やっと、春らしくなってきた季節に肩の力が抜けていくようだ。
「今日は快晴だったんだな……。 お花見日和なんじゃね? 花見行こうぜーー!」
「まだ、桜の花見は早いよな……」
「まぁ、桜はまだだとしても梅の方は満開だって患者さんが言ってたな……」
そう和也と望は他愛の無い会話をしながら平和な時を過ごしていたのだが、何処か遠くの方から救急車のサイレン音が聴こえてきた。
確かにこの病院に救急車が来るなんて日常茶飯事な事。 だが聴こえてくれば気になると言えば気になってくるもんだ。
「やっぱり、ウチの病院に来たみたいだよな……」
「ああ、やっぱ、相変わらず忙しい病院だよな……」
サイレン音と共に救急入口の方に入って来た救急車。
望は何気無くその様子を見ていると、
「……!?」
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