アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「ところで、ぼくの名前は覚えてる?」
「グホッ!!」
トーストのかけらが、喉の奥に突き刺さった。
「ほら、お水。」
「ゲホッ!ゲホゲホッ!!」
大人しくトイレから戻った俺は、出されたモーニングセットを戦々恐々としながら食べていたところの質問だ。
見事に喉に詰まらせて、危うく死にかけた。
「もー。しっかり飲み込んでよね。」
酷い話だ。
記憶にあるような無いような事故を逆手に(いや、なんだか考えると確かにおっぱいを貪った気もするんだが)とられて、正直、生きた心地がしない。
だが、無理矢理襲ったのであれば、これは暴行罪だし、きちんと罪は償わないといけないとは思う。
問題は、男性が男性への贖罪はどうしたら良いのか分からない点だ。
「す、すみません・・・。」
差し出されたコップの水で流し込んだ俺は、目の前の兄ちゃんを見つめた。
「しょ、正直、覚えてないです。」
「やっぱりね。」
目が笑ってなくて、思わず目を逸らした。
「しのぶ。ぼくの名前は、奥田 忍(おくだ しのぶ)だよ。」
「・・・奥田さん。」
部長と同じ苗字だ。
「やだな、忍って昨日は呼んでたじゃない。」
嫌な汗が止まらない。
忍という名前に、何となく覚えがある気がした。
「し、忍さん・・・。」
恐る恐る口にした名前を、兄ちゃん、いや忍さんはにっこりと笑って受け止めてくれた。
「なぁに?ダーリン。」
「グホッ!!」
ヤバイ。
絶対、ヤバイのに捕まった!!
「袖振り合うも多生の縁っていうけど、今回は深く擦りあってるからね?」
ああ、どうしよう。
戸籍に×がついた俺を、またもや追い詰めたのは名前に×の入る忍という名前の兄ちゃんだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 201