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「寝れない?」
「・・・うん。」
まるで耳の垂れたウサギみたいだ。
忍が、深夜、まくらを抱えて立っていた。
あれから交代で風呂に入り、忍に俺のベッドを与えて、自分はリビングのソファで横になっていたら、可愛いウサギがやってきた。
起き上がって隣をぽんぽんすると、忍は大人しくそこに座った。
「・・・そういえば、昨日のことを教えてくれる?」
「歩さんのこと?」
「ん、そう。」
話題は、俺が記憶を無くした時間の話を選んだ。
薄暗いリビングで、ちらりと忍の横顔を見てから、電源の切れた真っ黒いテレビの画面を見つめると、忍もテレビを同じように眺めた。
「・・・昨日も寝れなくて散歩してたんだ。」
静かに話しだした忍の肩をそっと抱いた。
その肩は痩せていて、まともに食事を摂っていないことが窺えた。
忍は抱かれた事で一瞬体を強張らせたが、すぐに体重を預けた。
「うん。」
「そしたら、歩さんが落ちてるのが見えた。」
・・・落ちてるって。
「ガラの悪いのが近寄ってたから、たぶん財布を抜かれるなって思って。」
「・・・助けてくれたんだ?」
情景が浮かんで、頭を抱えたくなった。
「ううん、自分でムクッて起き上がって、なぜかぼくに向かって走ってきて。」
「うそ?」
「ほんと。なんとかの巨人みたいな感じ。」
ふたりで吹き出した。
「まじか。」
「うん。うぉーっ!って。」
ああ、ストレスマックスでやらかしたな。
「でね、本当に不思議なんだけど、急にぼくを抱きしめたんだ。」
「いきなり?」
「いきなり。」
ちらりと俺の顔を見た忍の目は、暗闇に妖しく光った。
「離れないから、まあいっかって思って連れて帰った。」
「あぁ〜・・・。」
そして、忍を襲ったと。
「寝れなかったから、ぼくもちょうど良かったんだ。セックスしたら寝れる気がした。」
「・・・それは、俺に気を遣ってる?」
罪悪感を感じないように。
「ううん、それは本当。・・・歩さんは、被害者なんだよ。」
びっくりした。
「被害?!被害者は忍でしょ。」
お互い至近距離で見つめ合った。
「・・・ううん。でも、悪いと思うなら、今夜も抱いて欲しい。」
抱いて良いんだろうか。
抱く事で、傷付ける気がした。
「・・・忍。」
「ごめん!忘れて。ズルイよね。」
立ち上がり、離れていこうとする忍の手を掴んだ。
「・・・おいで。」
正解が分からない。
分からないけれど、俺は忍の手を強く引き寄せて、その甘やかな首筋に唇を落とした。
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