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荒く燃えるような熱い息は、階段を駆けのぼった証だ。
ふたりでのぼったその頂点は、強く激しい快感に支配された。
そして、今まで感じたことのない程、心が満たされた。
元嫁にだって感じたことのない感情に、俺は戸惑った。
「忍・・・。」
すぐに眠りに落ちた忍を、寝苦しく無いように姿勢を整えてあげながら、その不思議な気持ちの処理が出来ずに、ただ目を逸らした。
・・・セックスから始まる恋なんて、ありうるのか?
歳だって、ひとまわり以上違うのだ。
しかも、男。
くたりと力を失った体を見ないように、そっとベッドから降りた。
せめて、同情じゃないと思いたい。
いや。
首を振った。
・・・元嫁の代わりに抱いたんじゃないのか?
違うと思いたい。
思いたいけれど、俺自身の空虚な気持ちを埋めるために抱いたのかもしれない。
自分が分からなかった。
さっきまでの興奮と、満たされた心が嘘のように冷えびえと変わり、体を弄んだという罪悪感に苦しくなった。
弱りきった子どもを抱いて満たされるなんて、最低な大人じゃねーか!
いや、分かっていたはずだ。
抱いても、抱かなくたって後悔するって。
忍の心の隙間に付け入るなんて、こんな大人がやっちゃいけなかったんだ。
だが、心労で寝ることが出来ない忍を、寝せてやることは出来た。
静かに息を継ぐこの子を見て、ホッとしている自分がいることは事実だ。
でも、この子を・・・ひとりで必死に頑張る忍を、支えてやりたいと思った自分が汚してしまったのだ。
それも、2回も。
酔った上での不始末と、シラフの今の不始末。
イカせたいと夢中になって、忍を玩んだ。
『ぼくは厄病神が憑いてる。きっと歩さんに迷惑かける。』
あの悲しい顔。
『でも、悪いと思うなら、今夜も抱いて欲しい。』
俺がもっと出来た人間なら、もっとちゃんとした慰めができたはずなんだ。
こんな、衝動的なセックスは、忍の心を傷つけるってわかっていたのに。
「・・・最悪だ。」
肩を落としてキッチンへと向かった。
冷蔵庫で冷えたビールが、どうしても欲しくなったのだ。
後悔。
悔いても悔いても、忍を抱きしめるだけにしなかった後悔が押し寄せてくる。
そして俺は知らなかった。
その背中を、忍が青い顔で見つめていたことを。
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