アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
23
-
「それって・・・。」
ばあちゃんは、悲しそうに目を瞬かせた。
そして、前置きをしてからゆっくりと話しだした。
「この話は、ママさんとマスターから聞いた話だから、本当のところは分からないし、忍ちゃん自身がどう感じて生きてきたのかは分からないよ。」
ママとマスター。
つまり、忍の父親と母親のすみれさんことだろうか。
分からないなりに、俺は無言で頷いた。
話を全て聞いてから、疑問に思うことを聞こうと思ったからだ。
「ママさんとマスターの間には、一人娘がいてね。それはそれは綺麗なお嬢さんだったんだよ。」
・・・ああ、分かった。
忍の、おばあちゃんとおじいちゃんのことか。
「ふたりとも可愛がっていてね、愛嬌もあって、店の看板娘だったんだ。」
可愛がっていたのは、分かる。
おばあちゃんはすみれさんの名前を呼ぶ時、とても優しい顔をしていたからだ。
「ところがね、その娘は、ぱたりと店からいなくなったんだ。ママさんが言うには、悪い男に騙されたって言っていたよ。」
悪い男・・・。
先が読めた。
つまり、その悪い男との子が忍というわけか。
「帰ってきたときには、臨月でね。それはそれはママさんもマスターも怒っていたよ。」
つまり、忍を孕んで帰ってきた。
「相手の男は逃げたんだって、そうマスターが言ってたけど、まあ赤ちゃんがいる女を捨てるなんて、ロクな男じゃないさね。」
確かに、その話が本当であれば最低な男だ。
忍には、誕生を喜んでくれる父はいなかったのだ。
「でも・・・。」
「そう、忍ちゃんは母親はいた。でも、」
死んじまったんだ。
腹の奥が、すぅっと冷えた。
「い、いつ?!」
「・・・。」
ばあちゃんは、苦しそうに頭を振った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 201