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「ふたりとも、やめなさい!」
握った拳のドツキ合いは、山田さんの怒号で終わりを迎えた。
「LだのMだの、何のことなの?!」
俺はキッパリと言った。
「卵のサイズです。」
加藤もキッパリと言った。
「わかりません。」
「「え?」」
加藤は慌てて付け加えた。
「俺が言ってるのは、新里がドMだってことです。さっきからLって、それはタマのサイズか?」
・・・たま?
山田さんが首を傾げた。
「あら。それって下ネタ?」
「下ネタです。」
自信満々の加藤の返事に、俺は急に力が抜けた。
「・・・お前、鶏卵のサイズから連想してSMに辿りついたんじゃねーのか?」
「なんだそれ。意味分からんし。」
山田さんがソファー席を指差した。
「ひとりはあっちに行って頂戴。もうひとりは、カウンター席ね。」
ソファー席とカウンターの間に、山田さんは椅子を持ってきてドカリと座った。
「新里さん、何があったんです?」
俺はカウンター席、加藤はソファー席に座った。
「加藤の勝手な想像で、俺と忍がSMプレイをしていると言ってきたんです。」
「あら、激しいわね。」
「してませんからね。」
山田さんはソファー席に向き直った。
「SMプレイはしてないそうよ。何故、SMプレイをしていると思ったのかしら。」
「し、新里が拘束プレイをしたって告白してくれたんです。」
は?!
「縛られるの、またヤリ直したいって言うから、きっと忍ちゃんはソレが嫌で逃げ出したんだって!諦めろって説得してただけでっ!」
俺は静かに頭を抱えた。
・・・何がどうなって、こんな話になったんだ。
「そしたら、俺のタマはLサイズだって変なカミングアウトしてくるし。」
それ、鶏卵の話な。
「でも忍ちゃんを探すの諦めてなくて、でもノーマルなセックスを望む忍ちゃんが見つかったら、また縛るの強要するだろうし!」
だいたい、なんで忍がノーマルなセックスを望んでいると思うんだ?
「そういう、SMプレイが出来る店ってあるはずだから、そこで発散させたら良いんじゃないかと思っただけです。」
・・・これ、ガチでSMが好きな人なら、加藤の告白で10回は羞恥に死んでいるだろう。
残念ながら、俺はSMプレイは興味がない。
それに、そんなプレイはしたことが無い。
だから堂々としていられた。
「・・・新里さん、本当?」
俺は頭から手を離して、山田さんに疲れた笑顔を向けた。
「まるっきり、間違い。」
「なっ!」
加藤が発言するのを、山田さんは手ぶりで制した。
「SMには興味もないし、やった事もない。だいたい何で拘束プレイなんて思った・・・え。」
待て。
拘束・・・?
拘束って校則のことか・・・?
さっきの広場で感じた違和感が、胸の中でざわめいた。
「・・・広場で、学生時代の校則の話をしたんです。」
school regulations(校則)
restraint(拘束)
「俺の言う校則は、学校のルールの話。」
「はへ?」
ポカンとした加藤を見ながら、こりゃ間違いねーなぁと改めて感じたのだった。
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