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ああ・・・。
ふわふわする。
昔から、寝るのは得意じゃなかった。
おじいちゃんもおばあちゃんも、お店に出ていたから、寝るのはいつもひとりだった。
目を閉じると、世界中でぼくひとりになったみたいで、心臓がドキドキして。
それでも、途中でおばあちゃんが上がってきたときに起きてたりしたら腕をギュッとされるから、寝てるフリだけは得意になっていた。
年齢が上がるにつれて、寝れない時は勉強するか小説を読んだ。
おじいちゃんが亡くなって、家の中がもっと静かになって。
静かになったら、また怖くなって。
気を失うまで起きている生活になった。
おばあちゃんが入院してからは、最悪だった。
ひとりでいたくなくて、夜中、徘徊した。
疲れたら人の話し声が聞こえる位置に座って、ほんの少し仮眠する生活が続いた。
・・・そしたら、歩さんを拾ったんだ。
ぼくに突進してきて、ギュッて抱きしめるから、ほんの出来心で連れて帰った。
そしたら、発情しやがって。
一階で裸に剥かれて、抱きしめられて。
酒臭い息をハアハア吐きかけられながら、体を捏ねくりまわされた。
そして。
「ウェッ・・・!!!」
盛大なリバース。
超臭いし、放り出そうかと真剣に悩んだんだ。
歩さんの服を脱がしたのは、汚れたソレを洗濯するため。
フェイスガードつけたのは、自分の顔に吐きやがれ!という意趣返しだ。
あったまにきたけど、抱きしめられたその温かさが心地良かったのを思い出して、結局そのまま泊めた。
そして・・・。
『おばあちゃん、忍のことは任せてください!俺が守ります!』
どの口が言うんだか。
本当に、本当にもう・・・。
あったかいのは好きだ。
胸がぽかぽかする。
ひとりじゃない自分がいる未来なんて、想像出来なかったのに。
ああ、背中をぽんぽんしてくれている。
気持ち良い・・・。
ひとりじゃない。
ぼくは、ひとりじゃないんだ。
・・・でも、いつまで?
葬儀が終わったら、きっと離れて行っちゃう。
またひとりになるのだ。
怖い。
怖い、怖いけど・・・。
鼻の奥がツンとして、胸がザワザワして。
起きちゃったけど、目を開ける勇気が無くて。
ぼくは自分が弱いことを知っているから。
どうしようもなく汚いって知っているから。
多分、歩さんとは離れないといけない。
こんな良い人を、縛ることなんて出来ないのだから。
だけど今だけは。
今だけは、ひとりじめしても良いよね。
背中をあやしてくれるその手の温かさに甘えて、忍はギュッと瞼に力を入れたのだった。
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