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ここで少し時間は遡る。
にし川の予約を入れる際、歩は数人へ先に電話をしていた。
「もしもし、新里です。」
一人目の協力者に、時間を連絡した。
「俺。手筈は?」
二人目の協力者に、進行状況を確認した。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)
の、PlanからDoへ進むための足場固めだ。
「すみません、ご協力ありがとうございます。」
三人目の協力者に、しっかりとお礼を言った。
・・・よし、順調だな。
確認してから、にし川に予約を入れた。
ここで食事をするのは、時間稼ぎの一面もあるし、疲れた体を癒す目的もある。
しっかり食って、体力を回復してもらわないと歩の計画に支障が出るのだ。
「女将さん、疲れ切ってるハタチそこそこの男の子だから、元気になれそうな食事をお願いします。」
『ふふ、でも花籠なんでしょ?』
「そこは、ねぇ?」
含みを持たせると、女将さんから吹き出された。
『もう、新里さんは厳しいわね。融通つけるんだから、またお客様を連れてきてよ。』
「もちろんです!今度、めちゃくちゃ食べるヤツ連れてきます。」
という訳で、策謀しまくったのだ。
にし川の女将さんは、果たして約束を守ってくれた。
通常、ランチでは出すことのないニンニクたっぷりの和牛ステーキを出してくれたのだ。
「ええ?!お肉だ!」
「美味そうだな。」
忍の喜びに、女将さんはシレッとした表情のまま、目で笑った。
その目に、俺もニヤリと笑って答えた。
「今日は良いお肉が手に入ったんですよ。お米を先にお出しした方がいいかしら?」
「はい!食べたいです。」
速攻で頷いた忍が可愛らしい。
女将さんもそう思ったのか、笑顔で頷いた。
「承知しました。いまお持ちしますね。」
・・・よしよし、食え。
たんと食え。
食うことは生きることの基本だ。
しっかり食って運動したら、あとは寝る。
年相応の顔になった忍を微笑ましく思いながら、歩はアサリの佃煮をポイと口に入れたのだった。
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