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目まぐるしくて、苦しい。
なのに、ギュッと抱きしめてくれた腕が頼もしくて、不安だった気持ちが過去へと流されていく。
「はっ、ぁッ!」
キスをしながら二階に上がって、倒れ込むように部屋に入れた。
小さな小さなぼくの部屋は、勉強机とベッドでいっぱいだ。
「まって、汗がっ・・・!」
「俺もだよ、気にするな。」
気にする!
舐められた首筋も、しょっぱいに違いない。
それに、綺麗な体で抱いて欲しかった。
「ゃ、あっ!おふろ、ぃくっ」
「なら一緒だ。」
引き起こされて、だけど、お風呂に向かいながら服を脱がされていく。
まるで、ヘンゼルとグレーテル。
家に戻ってくるために、ヘンゼルは白く光る小石を森に落とした。
転々と落とされたふたりの衣服。
朝までずっと一緒にいるという、ふたりの証。
「ん、あっ!」
絡められた舌は、痛いくらいに引っ張られて吸われていく。
すでに上着を剥ぎ取られた剥き出しの背中は、歩さんの熱い手のひらが這い回り、ゾクゾクと快感が背筋を這い上った。
「好きだ、好きだ。」
息継ぎのたびに囁かれる甘美な呪文は、ぼくの体へ塗り込まれて重なっていく。
「ぁ、ぁ、ぁっ!」
ベルトを抜かれて、ズボンを落とされた。
パンツの中に手を入れられて、思わず背中を仰け反らせた。
割られた双丘の奥は、しっとりと汗を滲ませている。
仰け反った背中を支えられて、変わりに歩さんの腰を押し付けられた。
ぼくの熱を持つ部分とゴリゴリと当たって、思わずヒュッと息を詰まらせた。
「忍、好きだ。」
・・・ああ、騙されているんだろうか。
「好きなんだ。」
ならどうして、最悪なんて言ったの?
ならどうして、あの日の夜、ベッドに戻ってきてくれなかったの?
「忍が分かるまで言うよ。俺はお前のことが好きだ。」
うそ。
うそ、うそだ。
「おばあちゃんに言ったのは嘘じゃない。お前をずっと守っていく。」
そんなこと言って、去っていくんだ。
ね、そうでしょ?
『・・・魔法使いは太陽の光のように温かい心で、冷たく冷えた男の子の心を溶かしていきました。』
杉さん、この魔法使いは嘘つきです。
ぜったい、絶対・・・うそなはず。
でも、
「嘘つき!」
「嘘じゃない!」
でも、でも。
「うそだ・・・ぜったい嘘だ。」
「嘘じゃねーよ。・・・けど、」
・・・けど?
「一回騙されたと思って、信じやがれ!」
胸を張られて、目が丸くなった。
「え・・・?」
歩さんは、ぴかぴかの笑顔で笑った。
「嘘だと思うんだろ?なら、嘘と思ったままでいい。」
「・・・いいの?」
お尻の下の部分に腕を回されて、そのまま抱え上げられた。
歩さんを見下ろすと、彼は自信ありげに頷いた。
「いいさ、そう思っとけ。そのうち本当だったんだって気付くからな。」
・・・ぷは。
「なんでそんなに自信が持てるの?」
「好きって気持ちが本当だって、俺が分かってるからだ。」
んな、無茶苦茶な。
自信満々で、横暴。
おバカさんなことをして、元気をくれる嘘つきの魔法使い。
「今夜は・・・騙されてあげる。」
「明日も明後日も、10年後だって騙されとけ。」
・・・バカ。
床に下ろされて、手を引かれた。
お風呂はもうこの扉の向こうだ。
そして、これからは明るい未来が待ってる気がした。
ぼくは、既に全身で歩さんに惹かれていた。
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