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さて、『強引すぎて、すき♡』なんて、ある意味勘違いをしてしまった忍の心情を知らない歩は、至ってマイペースに行動した。
「忍、ゴミ袋は?」
「えっと、シンクの下。」
「あと、ダンボールとかある?」
「ええっと・・・。」
おじいちゃんとおばあちゃんの部屋に突入した歩は、小さな仏壇に手を合わせた。
ちなみにおばあちゃんの遺影、遺骨はお店のカウンターに置きっぱなした。
これは、半分片付けないと二階に置くところが無いという理由と、のこり半分はおばあちゃんにお店とのお別れをしっかりして欲しかったためだ。
仏壇は綺麗にしてあった。
都会らしい、こじんまりとした仏壇には、おじいちゃんとお母さんである すみれさんの位牌が並んでいた。
「忍はそこに座ってていいから、指示をだしてくれ。」
「うん。」
残すもの、捨てるものに分ける作業だ。
本来なら故人を偲べるよう、四十九日の後にすべきなのかもしれないが、忍はまだ気持ちが不安定だ。
忙しくしていたほうが、気が紛れる。
それに片付けをすると、自然と気持ちも整理されていく。
だから、敢えて手をつけることにした。
「いる?」
「・・・いらない。」
迷いつつも、分別作業は順調に進んだ。
まず手をつけたのは、タンスの中だ。
基本的には、女性ものの服は要らないだろう。
すぐにタンスが片付いた。
「じゃあ次は机ね。」
「うん。」
お店の帳簿や、手紙なんかがでてきた。
「・・・この辺りは、決めるの難しいね。」
「だな。一回全部に目を通した方が良さそうだな・・・って、忍。」
角2サイズの茶封筒が出てきた。
宛名面には、『忍へ』と書かれている。
「・・・おばあちゃんの字だ。」
俺たちは顔を見合わせた。
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