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「う、そ・・・っ!」
顔面蒼白とは、この事を言うんだろうな。
そう冷静に判断しながら、風見は大久保さんに重ねて問いかけた。
「では、血のつながった親子という訳ですね?」
風見の言葉に、大久保はしっかりと頷いた。
「なぜ、新里さんを襲ったのでしょうか。」
モップで襲っていた事を知っている。
きちんと理由を話してもらう必要があった。
「それは・・・。」
「それは?」
拳を握りしめた大久保は、新里を睨みつけている。
「本当は奥田さん、いや息子は新里さんのことが嫌いだと判断したからです。」
新里さんの目つきが一気に悪くなった。
「ふざけんな!いやよいやよも好きのうちだ!」
・・・完璧なストーカー理論に、風見は軽く頭痛を覚えた。
「忍さんは、新里さんのことが嫌いですか?」
好きですか?と問いかけると恥ずかしがって言えなくなることが想定できた。
だから、あえて嫌いか聞いてみると、案の定、忍さんは大きく首を横に振って好きなことを証明した。
「嫌いじゃないです!・・・ほんとにぼくのお父さん?」
忍さんの後半の問いかけは、新里さんに向けられていた。
「本当だよ。・・・可哀想に、無理矢理襲われたんだろ?」
「襲う?」
ああ、嫌な予感しかしない。
ふたりで話をさせるのは危険だった。
「えー、では新里さん。」
ふたりの世界に入ろうとした彼らを現実に引き留めるべく、風見は腹に力を入れた。
絶対ぜったい、勘違い暴走に間違いないのだ。
振り回されないように気を引き締めないと。
「あ、はい。」
「忍さんが好きだと告白されましたが、新里さんもお好きですか?」
新里さんは、たふん俺タイプだ。
恥も外聞もなく、ひとりの人を愛したらストレートに表現する。
「もちろん、好きです。もう手放しません。」
・・・よし、ここの関係は固まった。
「では、大久保さんは義理の父親になりますね。」
「そうなります。ですが、見損ないました。」
勘違いの紐はいくつも複雑に絡まる。
ひとつひとつ丁寧に引き剥がしていく。
「と言いますと?」
新里さんは忍さんをギュッと抱きしめた。
「嫌がる忍を抱いたんだ!」
風見の脳裏には、こんがらがって団子のようになった紐が浮かんだ。
「「「ええーーーー?!」」」
風見と新里を除く全員の叫びが、店内をビリビリと揺らした。
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